忍者の里は、金曜日を誰も残業しない【ノー残業デー】を決めた。
そして伝統的に毎月13日は女性の忍者が奉仕残業する【くノ一残業デー】だった。
ある月、13日の金曜日が発生した。
その日は残業しても里の掟への違反。残業しなくても里の掟への違反となった。
これはやってられない、ということでくノ一達は抗議した。
里の長はしばし考えてこう言った。
「変化の術で男に化けなさい。そうすればくノ一ではなくなり、残業義務も消える」
だが、里の長は思いもしなかった。
全ての13日に、くノ一達は男に変化したのだ。男の姿である限り、残業の義務は発生しない。
里の長は降伏して残業デーは全て廃止された。
(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)