「突然気づいたのだがね」
「なんだい」
「この記述」
「これがどうした?」
「【突然敵が攻めてきたらどうするのだ】と言われて眉にツバを付けるのがノーマルだが、【それは大変だ】と軍拡に賛成してしまう間抜けな人は唐突感を感じないのだよ」
「詳しく説明してくれ」
「いいだろう。説明するぞ」
「そもそも、突然敵が攻めてきたというのは、ボンクラの証拠なのかい?」
「地球上では、相手の国家を占領するほどの大規模軍事行動を秘匿することは難しい。まして複数国家連合だ。大規模移民船団を複数国家の大艦隊で襲うのもこれに準じるだろう。ただし、宇宙は大きいから未知の大勢力の存在は無理とまでは言えない」
「宇宙は大きいのだ。そして果てしないのだ」
「地球は小さいのだ。果てしないけど小さいのだ」
「どこまで行っても果ては無いが小さいのだね」
「そうだ。だから、小規模武装勢力が唐突に民間船を襲うような状況はあり得る。そのような状況なら唐突感はない。事前に察知できない可能性もある」
「つまり、復活篇の序盤は【唐突感はあるが宇宙だからギリギリセーフ】なのであって、同じことが地球上で起きたら【当事者がボンクラであること】の証明なのだね?」
「そうだ。百歩譲って【真の意図を秘匿していたから襲撃を受けた】という成り行きはあり得るのだがね。その場合でも、戦力がそこに存在することは察知できていることが前提だ」
「突然攻撃されることはあり得ても、【未知の敵】は無理があるのだね」
「そうそう。ところが、そういう中間を全部取っ払って【攻める】【攻めない】の単純な二元論でしか考えられない人は、単純に【攻める】という意志決定があれば即座に大艦隊で攻撃可能だと思っているから、ここに唐突感を感じないかもしれない」
「恐い話だね」
「まあ復活篇はアマールとの交流がありながら大ウルップ星間国家連合の存在に気づいていなかった地球側の外交と情報収集の不手際が引き起こした人災と言えるのだがね。結局、真田と古代が尻ぬぐい」