2016年08月04日
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三百字小説『楽しい台風一過』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 楽しい台風一家は今年も台風を待っていた。大雨や洪水など、台風が来れば非日常の世界が来るからだ。

 そして、今年も台風が来た。

 一家は驚喜した。

 だが、台風は進路を逸れ、一家の住む地域を直撃しなかった。風雨はあったが期待したほどではなかった。

 一家はガッカリした。

 ところが、上流から珍しいものがどんどん流れてきたのだ。

 台風に直撃された地域から流れてきたものだ。

 なんて楽しい。

 楽しい台風一過のひとときだった。

(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦