2016年08月09日
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感想・劇場版 動物戦隊ジュウオウジャー ドキドキサーカスパニック!【ネタバレ注意】

Written By: トーノZERO連絡先

「なぜ見ようと思ったの?」

「メジャーな戦隊ライダー映画は2009年末のムービー大戦2010から皆勤賞だからな」

「理由はそれだけ?」

「戦隊映画は割と努力と工夫が見られるから楽しい」

「それで楽しかった?」

「楽しかった。出来も良かった。オタクがみんな目の色を変えているゴの付く映画よりもはるかに楽しめた」

「でもさ。馬鹿馬鹿しさから言えば、こっちの方が激しいのでは?」

「ゴの付く映画も十分に馬鹿馬鹿しいよ。レベルで言えば大差ない」

「じゃあ何が違うんだい?」

「最大の相違は、馬鹿馬鹿しさの扱いだと思う。この映画は【馬鹿馬鹿しい】ことを踏まえた上でちゃんと見どころを用意している。それに対してゴの付く映画は馬鹿馬鹿しさを払拭しようとしてリアル風に仕上げているが、その結果ボロが出まくって白けてしまう」

「じゃあさ。この映画はどのへんが良いわけ?」

「戦隊映画の問題は、人数が多すぎること。しかし、この映画はジュウオウイーグルが一人になる展開になって、物語の煩雑さから解放されている。この【レッド一人】あるいは【レッド対レッド】というのは割と戦隊映画ではよくあるパターンで、そのへんは問題意識をちゃんと持って上手くやっていると思う」

「ふーん。それだけ?」

「いやね。ちょっと前に【ちえりとチェリー】という映画を見た。ラスボスは明示的に主人公の恐怖心が産み出した存在であり、恐怖心の克服そのものが勝利であるという内容うに感心したのだがね。この映画も基本構造は同じ。子供達の恐怖心が敵のエネルギー源が恐怖を克服したところでエネルギー供給が止まる。子供達でも素直に見られるように甘口で同じことを語り直しているようなものだ。やはり感心した」

「そこがポイント?」

「それだけじゃないんだぜ。まだ続きがある」

「まさか」

「実は、子供達が重要な立場で登場し、しかも子供にもできる【恐怖心の克服=泣かない】という努力で勝利に貢献できることを描いている。これは見ている子供に飽きさせないという意味で劇場に来る子供達にはサービスになっているし、物語に無理なく子供達が組み込まれているので、大人の視点で見ていてもスムーズに見ることができる。良い工夫だ」

「他に何か気づいた工夫は?」

「サーカスをテーマにしたことも良いね。サーカスそのものがファンタジー空間だ」

「それから?」

「ジューマンという種族が存在し、人間界で生まれた元の世界を知らない子供がいるという設定は実は、嘘くさい設定の塊に感情移入の糸口を与えている。そこはちゃんと筋が通っているのだ」

「へー」

「しかし、心残りもあったな」

「まさか」

「WikiPediaを見たら他の戦隊の要素がかなり入っていたようだ。自分は、チケット君にしか気づかなかった。でも、スナックゴンと芋長の芋羊羹ぐらいは確認したかったなあ」

「最後にひと言」

「この映画をなめるなよ」