2016年08月18日
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三百字小説『セーラー服と帰還中』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 カモメは、水兵になって故郷に錦を飾りたかった。弟が女装にうつつを抜かしているから男らしいところを見せたかったのだ。

 カモメは海軍の試験を受けて見事に水兵になることができた。

 しかし、任務地は遠い洋上。しかも、仕事は激務。毎日甲板を掃除して暮らした。

 やがて兵役も終えて故郷に帰れる日が来た。

 立派な水兵であることが分かるように水兵の制服をきちんと着込んで、カモメは故郷に帰った。

 高校の制服(女性用)を着た妹と弟が出迎えてくれた。軟弱な弟と比較して兄の立派なことに妹はさぞ感動してくれるだろう。

 だが妹の第一声は悲鳴だった。

 「きゃー、お兄ちゃんまでセーラー服女装してる」

(遠野秋彦・作 ©2016 TOHNO, Akihiko)

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