2017年01月05日
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三百字小説『リモコン里茂子』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 里茂子は他人の言いなるいわゆる使いっ走り、パシリだった。

 いつでも思い通りになる里茂子は便利なのでクラスメートから重宝がられた。

 しかし、みんなが命令を出しても里茂子の身体は1つしかない。

 そこで、壊れたテレビのリモコンを持って来て、それを持っている者だけが里茂子を操作できるとルールが決まった。

 次の問題は誰がリモコンを持つのかだった。それは公平にサイコロで決めることになった。

 クラス委員がサイコロを振った。

 出た目は里茂子の出席番号だった。

 里茂子は即座にリモコンを手にすると、自分に命令した。

 「パシリの代価をそろそろ取り立てなさい」

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦