2017年03月02日
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三百字小説『元日王対元旦王』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 オレは1年で1月1日がもっとも好きだと断言する元日王が「ガンジツナイス!」を叫んだ。

 ところがそれに異を唱える者がいた。1月1日を愛好する元旦王だった。彼は「ガンタンサイコー!」を叫んだ。

 しかし彼らがなぜ対立するのか周囲の者は誰も理解できなかった。

 二人の対立はヒートアップしたが、そこに割りこむ者がいた。サンタクロースだ。サンタクロースはクリスマスの夜になると二人に巌窟王の本をプレゼントした。

 二人は大晦日徹夜で巌窟王を読んだ。

 そして年が明けて1月1日になると二人は声を揃えて叫んだ。

 「ガンクツバンザイ!」

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

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