2017年06月22日
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三百字小説『ジェット膨らんだー』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ジェット旅客機の開発競争は行き詰まっていた。

 「このまま、大型化を進めてもライバルに勝てない」

 「燃費だ。空気より軽いガスを充填して、燃料を使わないで浮くようにしよう」

 各社のジェットはガスを入れるためにどんどん機体が膨らんだ。

 やがてできたがった究極のガスジェットは、巨大なガスタンクと小さなキャビン、そして、推進器が付いていた。

 各社は航空ショーでそれを展示して競った。

 航空ショーに近所のおばちゃんが遊びに来た。

 そして、最新ジェットを見るなり言った。

 「まあ、ここにもレトロな飛行船ですこと」

 隣のレトロ飛行船ショーには似たような形状の飛行船がたくさん並んでいた。

(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)

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