ジェット旅客機の開発競争は行き詰まっていた。
「このまま、大型化を進めてもライバルに勝てない」
「燃費だ。空気より軽いガスを充填して、燃料を使わないで浮くようにしよう」
各社のジェットはガスを入れるためにどんどん機体が膨らんだ。
やがてできたがった究極のガスジェットは、巨大なガスタンクと小さなキャビン、そして、推進器が付いていた。
各社は航空ショーでそれを展示して競った。
航空ショーに近所のおばちゃんが遊びに来た。
そして、最新ジェットを見るなり言った。
「まあ、ここにもレトロな飛行船ですこと」
隣のレトロ飛行船ショーには似たような形状の飛行船がたくさん並んでいた。
(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)