2017年11月06日
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人工葡萄酒そしてパン史とロシアとドイツ

Written By: 川俣 晶連絡先

「図書館で本を見ながらユニセフ給食という言葉を発見して、ユニオンパンに近いと思ったが、ユニセフはUnited Nations Children's Fundであって、Unionではないのであまり関係なかった」

「ぎゃふん」

「しかし、おもしろい話はいろいろあった。【台所に敗戦はなかった】(魚柄 仁之助著 青弓社)は凄く面白い本だ。知りたい話にはあまり切り込んでくれなかったがね」

「面白いことは確かってことだね」

「人工葡萄酒については、大まかに分かった。これは家庭で製造する葡萄酒で、かつては非合法ではなかったらしい。ある時期からは非合法になったが、それでも製造されていたようだ」

「話はそれだけ?」

「いや、何か関係ある話は無いかと思っていろいろ本を見ていたら、ロシア人やドイツ人の戦争捕虜が日本人と協力してパンを焼いて技術移転に貢献したという話は面白かった。ロシア人の方はすぐにロシア革命で帰れなくなって日本でロシアパンを売っていたらしい。与謝野鉄幹「ロシアのパン売り」という詩に描かれているらしい。ネットで発見した表記と書籍掲載の表記が違うので何が正しいのか分からないが、こんな感じだ」

「ぱんぱんとわろき売り声 ろしやパン売りのかなしさよ 妻子ある身のかなしさよ. 暑き町の裏町を パンパンとよんで行く」 与謝野鉄幹「ロシアのパン売り」

「で、ドイツ人の方は?」

「やはり革命で帰れなくなった人がいるという。敷島製パンの歴史にはこういうことも書かれている」

敷島製パンが発足する際に元捕虜のハインリヒ・フロインドリーブを技師長として招聘するなど、ドイツ流製法から発展している

「これは興味深いね。日本のパン史は、戦後の進駐軍の押しつけで始まったわけではないことがよく分かるね」

「そうだな。戦前のパン史はそれも面白い」

「でもさ。それは君が知りたいことではないよね」

「そうなんだ。自分が知りたいのはユニオンパンと東京ユニオンKKの正体だけだ」

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