「いやー。面白いね。毎月読むのが楽しみだよ」
「どこが面白かった?」
「その場を支配する圧倒的な強者であったはずのカトラスが実は遊ばれていただけ、という変化が鮮やか。しかも、ダーナが来たことで【本物の強者】が出現してもはや逃亡すらできない」
「遠近法すらダーナには勝てないわけだね」
「しかもね。ここが重要」
「何が重要なんだい?」
「圧倒的な力の存在が明らかになっても、物語の流れが死なない」
「それがどういう意味だい?」
「圧倒的な強者が介入した時点で、物語から緊張感が消失して物語がつまらなくなってしまうことが意外と多い。だから強者には弱点を設定して、場を支配させない。だが、ダーナのような相手には弱点も事実上無い」
「それで?」
「圧倒的な優位性を剥奪されて悔しいカトラスが残るからさ。その悔しさが物語の流れを断ち切らせない。まだ何かの展開があり得ることを予感させる」
「そこが構成の上手いところなのだね?」
「そう。カトラスで話が終わることで、流れが続く構成なのだよ」