2018年01月04日
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三百字小説『キャットスーツは着ても猫になれない』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 僕は猫になりたかった。

 ある日、キャットスーツを着てキャットウォークの上でキャット空中三回転を行うと猫に変身できると聞いた僕は、必死にキャット空中三回転を練習した。

 艱難辛苦、十年の時間を費やしてキャット空中三回転を修得した僕は、キャットスーツを着てキャットウォークの上に立った。ついにこの日が着たのだ。

 しかし、キャット空中三回転をミスって僕はキャットウォークから落下してしまった。

 僕は死んだ。

 輪廻転生を司る神さまが言った。

 「キャットスーツを着ても猫になれるわけないだろ。騙されただけだよ。おまえはアホすぎるので、次の人生は畜生道に落ちてくれ」

 僕は猫に生まれ変わった。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦