「実は宇宙戦艦ヤマトに関する本は2冊出して、歴然とした読まれ方に差が出てしなった」
「どういうことだい?」
「宇宙戦艦ヤマトとその時代はほとんど読まれていない。宇宙戦艦ヤマト・イズ・デッドはけっこう読まれている」
「どこに差があるんだ?」
「技術的なスキルの差はある。電子出版でアピールするためのスキルは経験を積んたことは大きいし、そもそも宇宙戦艦ヤマトとその時代はぽからの扱いで自分で出した本ではない」
「ふむふむ。技術の差?」
「それだけではない……と思う」
「それはなんだい?」
「実は、宇宙戦艦ヤマトとその時代はね。自分の企画ではないのだ」
「えー」
「他人が考えて他人がアウトラインのレールを敷いた。何を前提に何を結論にするのか、対話スタイルの会話体での進行などは自分で考えたものではない。そもそも、自分の趣味から言えば、真面目な歴史な本を対話スタイルの会話体で書くことはない。あれは自分のスタイルではない」
「それにも関わらず他人の勧め通りに書いたわけだね?」
「そう。スキルが無い以上【こうすればいい】というアドバイスには従うしかないだろう?」
「でも読まれなかったわけだね?」
「うん。そう。タイトルに宇宙戦艦ヤマトと書いてあるのに全く読まれていない」
「誰も知らない目新しいタイトルですらないのに?」
「そう。でも読まれなかった」
「それで?」
「それっきり。読まれないと分かった本に更に大幅な手間を掛けられないので」
「なるほど。放置だね」
「で、最近になって宇宙戦艦ヤマト・イズ・デッドを書くことになった。これは自分で立てた企画」
「なぜそんな企画が立ったんだ?」
「貴重な音声資料が新規に多数手に入って、更に新聞の縮刷版から新規に発掘した情報も多くあったのでね。それらをベースに本にまとめた。宇宙戦艦ヤマト【伝説】に死んで頂くためにね」
「それで結果は?」
「うん。そこそこ読まれている」
「結局なんだい?」
「やはり、他人がその場で考えた良いアイデアなどその程度。真剣味がない。自分で本気で取り組まないと。他人を頼っちゃダメ」
「じゃあさ。宇宙戦艦ヤマトとその時代の企画者って誰なんだよ」
「名前は出すなと言っているので出さないがね。自分の企画ではない……というところまでは言うよ」
オマケ §
「根本的に宇宙戦艦ヤマトとその時代のダメなところって何だと思う?」
「宇宙戦艦ヤマトに興味がある人はなぜ宇宙戦艦ヤマトがヒットしたのかという理由について、特に知りたいと思っていない」
「なぜ?」
「その時代を体験しているから、改めて知りたいとは思っていないのだ」
「じゃあさ。なぜ宇宙戦艦ヤマト・イズ・デッドはヒットしたんだ?」
「君が知っていると思っている過去は嘘っぱちであるという告発だからだろうね」
「180度テーマ性が逆なんだね」
「そうだな。たとえば、君が知っていると思い込んでいる時代に【ダイナマイトどんどん】は含まれているのか、ということだ」
「【ダイナマイトどんどん】を語れれば時代を語ったことになるの?」
「違うよ。【ダイナマイトどんどん】ぐらい語って当たり前……ということが話の前提なんだ。話はもっと奥深いよ」
「君は果てを見たのかい?」
「まさか。おいらにもまだ全貌は見えない。おそらく、全貌が見える日は来ないだろう」
「で、【ダイナマイトどんどん】と宇宙戦艦ヤマトはどんな関係なんだい?」
「宇宙戦艦ヤマト・イズ・デッドに書いた」