「実はメカのみならずキャラについても遙かなる星イスカンダルの設定が怪しいという認識を持つに至って、どうも【ヤマトはどこでヤマトとしてのアイデンティティを失ったのか】という問題に向き合うことは可能ではないか、という気がしてきた」
「つまりどういうことだい?」
「21世紀において、ヤマトに向き合う際に遙かなる星イスカンダルを起点と考える人たちと考えない人たちがくっきりと別れた……のが21世紀ヤマトの現状であろう」
「具体的には?」
「こんな感じで別れるのではないかな」
- 70年代の旧作起点である→大ヤマト零号、復活篇、SBヤマト
- 遙かなる星イスカンダル起点である→ヤマト2199、ヤマト2202
「ここに断絶があると?」
「おそらく、ここに歴然とした断絶がある」
「その断絶とはなんだい?」
「遙かなる星イスカンダルそのものが既にヤマトであってヤマトではないという側面が色濃かった」
「その延長線にあるものがことごとくおかしくなってしまうわけだね」
「しかし、そうは思わない人もいるだろう」
「遙かなる星イスカンダルの設定で上書きされてしまった人たちに違和感はないわけだね」
「彼らに取ってはこのバランスの方がスタンダードだ」
「つまり、ヤマトファン銀河100年戦争の火種はこの時点で既に撒かれていたわけだね」
「そうだ。しかし、この種は発芽しなかった」
「なぜ?」
「対象がゲームという嗜好品だからね。気に入らなければ他のメーカーの他のタイトルを買えば良い。致命傷の問題ではない。事実、HumanのPC-Engine用の宇宙戦艦ヤマトは70年代のヤマトに忠実な作りになっていた」
「でも、種は残った?」
「そう。ヤマト2199という形を取って世に出た時点で紛争の種は発芽してしまったが、おそらくヤマト2199のスタッフはなぜ紛争に発展するのか理解していない」
「なぜ理解できないの?」
「種を蒔いたのはあくまで遙かなる星イスカンダルであって、ヤマト2199ではないからだ」
「自分で蒔いた種では無いわけだね」
「そう。それでは容易に察知はできないだろう」