2018年09月27日
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三百字小説『ルソン島のネルソン提督』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ルソン島の少年ネールは寝てばかりいたが、日本の三年寝太郎を知って感銘を受けた。

 「おれも大きなことをしたい」

 下っ端はイヤだった少年ネールはルソン島海軍の士官学校を受験して受かってしまった。その年の受験生は彼だけだったからだ。

 やがて彼も出世して提督になって艦隊の司令官になった。

 だが、やはり彼は寝てばかりいた。

 仕方がないので、部下が頑張って戦い、勝利をもぎ取ってきた。

 凱旋した艦隊は声援で迎えられた。

 「さすがはネール提督。いやルソン島の誇り、ネルソン提督!」

 彼はうなずいた。

 やはり三年寝太郎は正しかった。

 大きいことは寝ていても達成できる。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦