ルソン島の少年ネールは寝てばかりいたが、日本の三年寝太郎を知って感銘を受けた。
「おれも大きなことをしたい」
下っ端はイヤだった少年ネールはルソン島海軍の士官学校を受験して受かってしまった。その年の受験生は彼だけだったからだ。
やがて彼も出世して提督になって艦隊の司令官になった。
だが、やはり彼は寝てばかりいた。
仕方がないので、部下が頑張って戦い、勝利をもぎ取ってきた。
凱旋した艦隊は声援で迎えられた。
「さすがはネール提督。いやルソン島の誇り、ネルソン提督!」
彼はうなずいた。
やはり三年寝太郎は正しかった。
大きいことは寝ていても達成できる。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)