「新刊である」
「これはなんだい?」
「野猿峠ハイキングコースに関する研究のまとめである」
「どこがポイントなんだい?」
「割と情報に混乱が見られる。昭和初期に開設されたのに反映したのは昭和20年頃とか、話がおかしすぎる。そのあたりを全部解きほぐした。その上で自分で現地を歩いてきた体験を加味して、戦前、戦後、昭和40年代、現在の4つの時代を分けて解説した」
「力が入っているね」
「何冊売れても赤字確定である」
「で、野猿峠ハイキングコースってなんだい?」
「京王帝都電鉄が力を入れてアピールしていた多摩南部のハイキングコース。おおむね、高幡不動尊から平山城址公園を経由して北野まで」
「聞いたことがない」
「今はその名のハイキングコースはもうない」