2019年01月03日
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三百字小説『家族神獣』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 神獣ファミリーは、神として人間たちから崇拝されていたが、時代が変わって信仰心は減り、供物も捧げられなくなった。

 そこで、神獣ファミリーは収入が激減して生活に困った。

 「このままでは一家心中だ」と家長のパパ神獣が言った。「どうしよう」

 ママ神獣が言った。「死が二人を分かつまで。どこまでもお供いたしますわ」

 娘神獣が言った。「まだ恋愛もしていないのにそんなのイヤ」

 息子神獣が言った。「心中ってなに? 神獣の親戚?」

 祖母神獣が言った。「いつまでもゴロゴロしてないで、おまえが働けばいいんだよ、パパ神獣」

 結局、パパ神獣は神殿の売店にバイトとして就職した。

(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)

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