2019年05月04日
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詳説・多摩・八王子・拡張武蔵野(エクステンシノ): 国木田独歩没後111周年企画

Written By: 川俣 晶連絡先

「少し詳細に解説しよう」

「どこをどう解説するんだい?」

「国木田独歩は武蔵野の魅力を林だと再発見したが、自分は多摩、八王子の魅力を高低差だと再発見した。高低差を魅力を堪能できる場所として、万葉公園や百草園を紹介している。まあ詳細は読んで頂くしかないのだが」

「それで?」

「そこがどう面白いのかを説明して最後に映画【耳をすませば】を詳しく語って終わる」

「なぜ【耳をすませば】なんだ」

「高低差がこれでもかというぐらい大量に描かれている上に、【過去の栄光】を描いた映画でもあるからだ。今の多摩丘陵は過疎化が始まっていて当時とは状況が違う」

「今はもう違うのか」

「【平成狸合戦ぽんぽこ】の世界も既に過去であることを説明している。タヌキは多摩丘陵にいるのだ。けして消えてしまったわけではない」

「タヌキがひっそりと暮らしているのか」

「そうじゃない。多摩動物公園は柵にタヌキ除けの補強を要するぐらい強い存在なのだ」

「えー」

「住宅地がすぐ近くまで迫っているからと言ってなめではいけない。野生動物はそこにいる。それが多摩丘陵」

「そこに味わいや趣を見出すことはできるわけだね」

「そう。廃墟もあれば万葉集の時代から続く歴史もある。万葉集の【多摩の横山】はここなのだ」

余談 §

「もっとも、万葉集の【多摩の横山】がどこなのか良く分からないけどね」

「というと?」

「【よこやまの道】は若葉台付近から続く道なのだが、御陵線の武蔵横山駅は武蔵野陵附近なんだよね。万葉公園もけっこう近い」

「若葉台と御陵線ではかなり距離があるぞ」

「万葉集研究家に教えを請いたいぐらいだ」

「今まで、万葉集は視界に入っていなかったよね?」

「そう。ほぼ関係なかった。しかし、府中以西まで進出すると万葉集も視界に入ってくることが分かった」

「なぜその差が生じる」

「西日本から関東平野に進出してきた日本人は、まず府中から国分寺のラインを武蔵野国の中央に定めたからね。府中以東と以西では存在感が違う」

「その話はこの本と関係あるかい?」

「ある。この本でエクステンシノ入門編として紹介したのは【万葉公園】だからだ」

「エクステンシノって何だよ」

「拡張武蔵野(Extension of Musashino)だ」

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