シブヤにはシブタニさんが住んでいた。
しかし、ある日、彼は文句を言われた。
「シブヤのシブタニっていうから、どんな渋い男かと思ったら子供じゃん」
そんなことを言われる筋合いはないと思ったが、彼としては名前負けしない渋さは身に付けたかった。
彼は、「ガキの分際で生意気」と言われつつも【渋さの男スクール】に通った。
ある日、彼は友達の前で決めポーズを取った。
「どうだ。かなり渋くなっただろう?」
「渋いけど、それ大人の渋さじゃない。ガキの渋さよ」
彼はショックを受けた。
ショックのあまり、彼は渋柿になった。
(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)