才女は頭が良すぎた。
そのため、自分の地位が奪われると思った幹部連中は才女を鉱石採掘所に配置転換した。
彼らは才女が謝りに来るのを今か今かと待ち続けた。
だが、来なかった。
やがて採掘所から人が来たが、才女ではなく所長だった。
「彼女は真面目ですが、いかんせん非力な女だ。仕事の量は男の半分でしかない。もっと力自慢の男を寄越して下さい。ああいう勤勉で真面目な女はデスクワークで書類仕事をさせるべきだ」
社長は「至極もっともだ」と喜び、即座に才女を社長秘書に転職させ、採掘所には力自慢の男を送った。
それから数ヶ月のうちに、才女を採掘所に送り込んだ男達がなぜ次々とミスを暴かれて失脚していった。
(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)