2019年09月12日
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三百字小説『夏のカシューナッツ』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 夏バテ対策にカシューナッツ。

 部長が言いだしてカシューナッツを大量に買ってきた。

 「美味しそうです。食わせて下さい」

 「カシューナッツは夏まで保存。絶対に食ってはいかん」

 部長の厳命だった。

 やがて夏が来た。

 「ついにカシューナッツ解禁だ。好きなだけ食え」

 「それより水を下さい。水道壊れてみんな熱中症です」

 「水なら無い! それよりカシューナッツを食え。塩味で美味しいぞ」

 「もっと喉が渇きそうだからイヤです」

(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦