Written By: 遠野秋彦
ヒザとヒジが一緒に慰安旅行に出た。
だが、駅から旅館までのバスが高いと知ると、「歩いて行こう」ということで話がまとまった。
しかし、小さい丘を超えるだけで苦労は大きく、旅館は見た目ほど近くはなかった。
二人とも足が疲れ果てた。
「元気を出そう」とヒザが言った。「こんな時はダジャレを言って笑うに限る。ダジャレを言うのは誰じゃ」
「笑えない。笑っているのはヒザ君のヒザだけだ」
ヒザが笑った。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)