「さて、劇場版イナズマイレブンGO VS ダンボール戦機Wがあまりに良かったので、ブルーレイを買ってしまった。部分的には既に見ていた」
「なぜブルーレイを買ったの?」
「理由はいくつかある」
- ブルーレイでも安かった
- 借りたのはDVDなので、ブルーレイ画質で見てはいない
- 結末がちょっと謎っぽかったので、繰り返し見て確かめたかった
「なるほど。結末の謎か」
「うむ。しかし、もう1つオマケが付いた」
「それはなんだい?」
「なるほど。オーディオコメンタリーがあれば、解釈も明確になるね」
「言及されていればだな」
「ぎゃふん」
感想 §
「というわけで、オーディオコメンタリーの内容は声優の感想トークと演出意図の解説であった。その結果、面白いことがたくさん分かって良かった」
「どんなことが分かったんだい?」
「たとえば、イナズマイレブンとダンボール戦機のキャラクターの等身を調整してあるとか」
「そのまま混ぜたらおかしいわけか」
「あとは、アフレコは人数が多いので複数に分けて行われたとか。自然に思える会話でも、実は相手がいない状態で録音されていたらしい」
「たとえば?」
「イナズマキャラとダンボールキャラは別なので、それらの会話は実は別々に録音だったみたいだ」
「なるほど」
「で、凄く納得したのが【ここに説得力を出すためには感情の流れに嘘がないように注意した】という話で、だから話に説得力が出ている」
「嘘だらけのアニメも多い中で、それが良い特徴ってことだね」
「そうだ。だから、名作アニメの前に出しても恥ずかしくないよ、これは」
「そこまで言えるアニメはそれほど多くないわけだね」
「それから声優のトークがラストに行くに従ってどんどん重くなる。ゲストヒロインのフランに関する話を真剣に受け止めて考えて深く受容したことが分かる」
「関わったスタッフ自身の心にも大きく影響する作品ってことだね」
「それだけでなく、ここで劇場で泣いている人がいたという話もあった。客にも大きく影響を与えていたのだろう」
「わざわざブルーレイ買った君にもな」
「さて、最後の問題は結末の解釈だ」
「ふむふむ」
「死んだはずのサンとアスタがいるので、当初自分は全てはフランの夢の中の出来事という解釈を取ってしまったが、本来の正しい物語は、【歴史が変わり、サンとアスタが生きている未来にフランは戻った】だと分かった」
「なぜ食い違う?」
「理由は、おそらくカットと演出ミスだ」
「カットとは?」
「実はかなりいろいろなシーンがカットされていることがオーディオコメンタリーで示されている。どうも、未来が変えられるというニュアンスがどこかで落ちた可能性がある」
「では演出ミスとは?」
「ラストシーンを試写後にリテイクしたことがオーディオコメンタリーで示されている。おそらくそれで改善はされていると思うが、十分ではなかったのだろう」
「その点は作品の評価を落とす?」
「とんでもない。一つぐらいの演出ミスで作品の評価は落ちない。もの凄くよくできた映画だよ。最初から最後まで全部間違っているアニメも珍しくないんだ。これだけ作れたら優秀作品に数えて良いぞ」
「結局、この作品のポイントはどこにあったと思う?」
「戦いを否定する者が敵であること。サッカーもLBXも争うことが前提で存在する娯楽だ。だから、彼らは戦いを否定する者と完全に正面からぶつかり合う。その結果、本物の悪人がいない世界が展開され、相異なる正義がぶつかりあう正解なき世界が現出する。フランも悪ではない。戦いへの憎悪があるだけで、彼女は悪人ではない。だから決着も単純な勝ち負けでは付かない。【受け止める】という相互理解で乗り越える」
「なるほど」
「しかも、その【受け止める】という意図をゴッドハンドで相手を包み込むというビジュアルで表現するのは見事だ。本当に巨大な手で相手を包み込んでしまう。言葉でくどくど言わないで、ビジュアルでストレートに表現してしまうのは見事だ」