2020年03月26日
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三百字小説『教師王・先生君主』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 僕は全世界のあらゆる教師を倒し、ついに教師王となった。僕は専制君主として、全世界を支配した。

 「私のことは先生君主と呼ぶがいい」僕は宣言した。

 僕は無敵だった。

 抗う者は廊下に立たせておけば良いのである。

 時々僕を倒そうと挑戦者が来た。

 しかし、先生である僕は【先生攻撃】という名の先制攻撃が可能であり、必ず勝てた。

 だが僕が負ける日が来た。

 校長が僕のところに来て言ったのだ。

 「キミはどの部活の顧問にもなってなかったね。野球部を見てくれないか。ちなみに、野球部はハードだから顧問だけで他のことはできなくなるよ」

 教師の中の教師、教師王より校長は偉かった。

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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