Written By: 遠野秋彦
魔竜の趣味はハイキングに行き、そこで俳句を詠むことだった。
「魔竜さん魔竜さん、どうしてハイキングで俳句を詠むのですか?」と子供が質問した。「ハイキングはハイクともいうから俳句なんですか?」
「違うよ坊や」と魔竜は答えた。
「じゃあ何?」
「そんな質問をしてくる馬鹿な子供を食べてしまうためさ」
魔竜は子供を一飲みにした。
「ここで一句。胃袋や子供飛びこむ喉の音」
子供が魔竜の胃の中で「季語がねーぞ」と叫んだ。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)