鈍感な大統領のせいで国家はピンチに陥っていた。
そこで、新しい大統領を選ぶことになったが候補者が全てイマイチだった。
こうなったら我々で作ろう、と関係者は決めた。鈍感を回避するために割れやすいガラス瓶を素材にすることにした。しかしハガネの豪胆さも欲しかったので缶も使った。
ついに、ビンと缶で作られた敏感な大統領が生まれた。
「ビンと缶で作られた世界初の大統領だ。さっそく何かお言葉を!」
「私を馬鹿にしないでくれたまえ。ビンと缶で作られた、などと」
「これは失礼しました」
「私のことはビンカーン大統領と呼んでくれ」
彼は名前にも敏感だった。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)