陰陽師博士は、絶対に売上げをちょろまかさない店員を産み出すべく、勘定回路を内蔵した人造人間次郎を製造した。
しかし、博士の死により、次郎は不完全な勘定回路を持ってしまったが好評だった。人間の店員と違って給料を払う必要がなかったからだ。
だが次郎の弟、三郎がデビューした。
陰陽師博士が死んだ今、完全な勘定回路は無理であった。そのため。三郎は電卓を叩いて正しい計算を行う機能を備えていた。
ついに、次郎と三郎が対決する日が来た。
膨大な数字が二人提示された。
次郎は一瞬で計算を終了したが間違っていた。
三郎は一晩経っても電卓を叩き続けていた。計算が終了するのは地球の寿命が三回尽きた後だと見積もられた。
(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)