2020年11月06日
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三百字小説『ラッコパトロール2』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 ラッコ達は大食いだった。

 だから食料泥棒には敏感だった。

 「このあたりの海に貝泥棒が出没する。若いラッコでパトロール隊を結成するぞ」

 ラッコパトロールの結成であった。

 ラッコたちは、貝の多い海域で泥棒を待った。

 だが、ラッコ達は大食いだ。すぐ腹が減った。

 「あ、ここは貝が多いぞ」

 「食べよう」

 「そうだそうだ。体力を付けないと泥棒と戦えない」

 ラッコたちは貝を食べ始めた。

 そこに人間の密漁船がやってきた。

 「やや! 貝がラッコに食われるぞ!」

 「まるまる太ったいいラッコじゃないか。ラッコは貝より高く売れる。みんな射殺して連れて行くぞ!」

 ラッコパトロールは全滅した。

(遠野秋彦・作 ©2020 TOHNO, Akihiko)

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