2021年01月25日
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三百字小説『太郎さんのタロット』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 太郎は宣言した。

 「俺はタロットカードをデザインするために生まれてきた。これから一生をタロットに捧げるぞ」

 皆が驚いた。

 「なぜどこまでタロットにこだわるのですか? 名前が太郎とタロットで似ているからですか?」

 「まさか。そんなわけないでしょ」

 「それじゃいったい……」

 「太郎さんのタロットという宣伝文句を使いたいからに決まってるじゃないですか!」

 「宣伝文句ありきかい」

 太郎が総突っ込みを受けたことは言うまでもない。

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦