「Twitterでテラ戦士ΨBOYというタイトル言及している人がいたので思いだした。確かにそんな映画があった」
「1985年の菊池桃子主演のアイドル映画だね」
「まあそういう認識であった」
「違うの?」
「意外と違った」
「どう違うの?」
「まず、これは映画としてちゃんと作られている。映画の背骨がしっかりしている。そこに、主演菊池桃子がピタッとはまっているので、菊池桃子はアイドルではなく主演女優に見える」
「なるほど」
「最近ではへなちょこ映画を見ることも多いので、それを考えれば辛口で筋が通ったしっかりした映画だ」
「筋が通ったしっかりした映画だから人気が低いの?」
「それは知らない」
「では具体的な感想は?」
「序盤でお色気担当の新体操部員のレオタード姿が背景に出てくるが実はお色気要素はあまりなくて、そもそも菊池桃子自身がほとんどズボンスタイルで出ているぐらいで、アイドル映画っぽさは希薄だ」
「なるほど。では気になることはなかった?」
「いや。最初は超能力の設定がぶっ飛びすぎて入っていけないほどだった。でも、個別の描写が優秀でそのうちに作中に入っていけるようになった。すぐに移動先を間違える瞬間移動とか、男達が娘の部屋に来て心配する母親とか。そして最終的に、これは全て幼女桃子がボーイに見せられた幻のようなものだと分かる。あくまで、はやく高校生になりたかった幼女の桃子がボーイに【高校生になった自分】という夢を見せられていたのだ。だから中間の記憶が存在しない」
「ふむふむ。最後まで見ると筋が通るわけだね」
「それから、タイトルは【テラ戦士+ΨBOY】ではなく、【テラ戦士Ψ+BOY】だね。話は、サイキック戦士とボーイの関係で進行する」
「なるほど。斉木楠雄のΨ難のΨと同じΨってことだね」
「最後に、一応アイドル映画としては女の子は基本的に桃子だけ。男は多数出てくるが本命の相手役は姿のはっきりしないボーイということで、一応菊池桃子が大好きな男の子に配慮した作りになっているのは面白いと思った。でも、それが浮いているというわけではなく、そういうボーイというキャラクターと桃子の特権性の両輪で物語が構築されているから、これはこれで筋が通っている。立派だね」
「どんな内容でも、キャラクターと物語の組み立て次第で活かすことも殺すこともできるわけだね」
オマケ §
「ちなみに、テラ戦士ΨBOYはDVD化されていないっぽい。TSUTAYA DISCASの検索でも出てこない」
「どいうやって見たんだよ」
「それはまあいろいろと……」