「60年代の赤影を数十年ぶりに見た」
「なぜ見たの?」
「TTFCで見られたのと、荒唐無稽という内容を確認したかったのでね。それから、もしかしたら当時モノクロTVでしか見てないかも知れないので、カラーで見てみたかった」
「それで巨大コマのエピソードを選んだの?」
「そうだ」
「で、どうだった?」
「荒唐無稽だったよ」
「どのへんが?」
「銃を跳ね返す有人巨大コマを作れる技術がある一方で、銃の性能が合戦を制するというナレーションが入って木下藤吉郎は必死に銃を運ぶ。この矛盾は何?」
「えー」
「しかし、矛盾はさておき、アイデア豊富で飽きさせない作品であることは確かだろう。面白いとは思う。子供時代に見ていたのも良く分かる」
「では赤影万歳で終わり?」
「いや、これがワタリの企画がぽしゃった代替企画だと知った後だと思うと、評価は微妙になる」
「どう微妙なんだ?」
「ワタリは忍者ものではあるが、ああいうアイデア勝負のビックリドッキリ話ではないんだよ。人間観察や社会性などの豊潤な内容を含んだ作品だった。それを、原作の良さを綺麗さっぱり捨てて代わりにアイデア勝負のビックリドッキリ話を詰め込もうとしていたとすれば、それは原作者が怒って企画が終わってしまう」
「つまりなんだい?」
「実は、そのあたりの反省もあって、その後、東映は変わったのではないだろうか。豊かな人間性はむしろ東映特撮の特徴となって行くような気がする。巨大ヒーローに依存する割合の高い円谷や、怪獣に依存する割合の高い東宝と比較して、等身大の人間味のあるヒーローが東映には多いような気もする。個人の印象に過ぎないがね」
「なるほど」
「もっともロボット刑事や仮面ライダー01のヒューマギアはロボットにしては人間味がありすぎるがね」
「ぎゃふん」