2021年11月29日
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三百字小説『マシン・ナース・シティ 機械の看護士がいる街』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 病院都市では困っていた。

 女性看護士にセクハラする男が絶えないのだ。

 「いっそ、全部機械の看護士に取り替えましょう。スカートをめくっても中が電子回路なら誰もめくりません」

 病院都市は全ての看護士が機械に置き換えられたマシン・ナース・シティになった。

 だが、機械の看護士が「スカートめくりされました」と苦情を言ってきた。

 「そんな馬鹿な。スカートをめくってもパンツは見えないんだぞ」

 「電子回路を見ると興奮する変態患者が全世界から集まってきています。もう耐えられません」

 「電子式は駄目か。じゃあ機械式看護士にしよう。電子回路ではなく歯車が見えればきっと……」

 「その前に看護士の制服をズボンにしてください」

(遠野秋彦・作 ©2021 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦