2022年01月24日
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三百字小説『未智瀬マイの狭隘道路探検記』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 未智瀬マイは狭い道のマニアだった。

 彼女は全国の狭い道を走破していた。

 なぜ女だてらにそんな渋い趣味を……と疑問に思う人もいるが、明らかに身体が細い女性は狭すぎる道を通るには有利だった。

 だが、そんな彼女に強敵が出現した。

 地震で岩が動き、狭い道がますます狭くなって人が通れなくなっていたのだ。当然、マイにも通れなかった。

 それでは困るので隣に道路を新設工事中だったが、迂回ルートができるまで書類上、道路は現役だった。

 ここを通らねば狭隘道理マニアではない!

 未智瀬マイは、爆薬を仕掛け、岩を爆破するとその道を通った。

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

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