2022年09月19日
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三百字小説『0037564は皆殺しの番号』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 オレは暗殺専門のスパイになった。

 ボスは言った。

 「今からおまえは名前を失い、番号で呼ばれる。ただし好きな番号を名乗らせてやろう」

 「007は殺しの番号って映画があったよね。007がいいです」

 「ダメだ。007は人気の番号で奪い合いだ」

 「じゃあ、0037564は皆殺しの番号ってことで、0037564が良いです」

 「皆殺しをする気か?」

 「命令とあれば」

 「よろしい。君は今日から0037564だ」

 「ではさっそく一人目を」

 オレはボスを射殺してクライアントに電話した。

 「もしもし、首相。敵に内通していたボスは射殺しました。次は誰ですか?」

 「オレの妻を寝取った副首相を頼む」

(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦