オレは暗殺専門のスパイになった。
ボスは言った。
「今からおまえは名前を失い、番号で呼ばれる。ただし好きな番号を名乗らせてやろう」
「007は殺しの番号って映画があったよね。007がいいです」
「ダメだ。007は人気の番号で奪い合いだ」
「じゃあ、0037564は皆殺しの番号ってことで、0037564が良いです」
「皆殺しをする気か?」
「命令とあれば」
「よろしい。君は今日から0037564だ」
「ではさっそく一人目を」
オレはボスを射殺してクライアントに電話した。
「もしもし、首相。敵に内通していたボスは射殺しました。次は誰ですか?」
「オレの妻を寝取った副首相を頼む」
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)