大公殿下は辛子明太子が好物だった。
しかし、ある日食卓から辛子明太子が消えた。
「なぜないのだ」
「タラがタマゴを産みません。辛子明太子はタラの卵巣から作ります」
「なぜ産まないのだ」
「少子高齢化が進んでいまして」
「なぜみんな子供を持とうとしないのだ」
「それは大公閣下が重税を課すからです」
「それはいかん。すぐにタラに支援金を配れ」
「財源がありません」
「よし、増税だ。特にタラから多く取れ。受益者負担だ」
「ではさっそく」
その結果、タラはヤタラと怒ったそうだ。
めでたしめでたし。
(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)