2023年05月01日
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三百字小説『カーニバルのバニーガール』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 興行一座は、ゴーマン市のカーニバルに参加しようと目論んだ。大金が稼げるからだ。

 ゴーマン市の市長は傲慢な男でワイロを要求してきた。

 しかし、貧乏一座に金などない。

 「ダメだダメだ。帰れ帰れ。いやまてよ。おまえのところはバニーガールがいたな。あれが出るなら参加を許す。それ以外なら参加禁止だ。分かったな!」

 「間違いなく」と座長は頭を下げた。

 ところが戻ってみるとバニーガールは軽業師と駆け落ちした後だった。

 止むを得ず座長は残ったコスチュームを着てステージ立った。

 市長はなぜか喜んだ。

 「むむ! 新しい性癖に目覚めた。男の娘バニーガール最高!」

 傲慢な市長は座長を愛人にすることを決め、座長は夜逃げした。

(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)

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