2002年03月03日
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無謀解説宇宙戦艦ヤマト 第0.5話 放送前夜

Written By: トーノZERO連絡先

 まだ第1話の話を始めることはできません。そのため、第0.5話ができてしまいました。

 宇宙戦艦ヤマト放送開始頃のアニメというと、あの名作アルプスの少女ハイジがあり、小さなバイキングビッケがあり、ゼロテスターがあり、グレートマジンガーがあり、という状況だったと思います。ハイジやビッケは優れた作品であり、本当はこれらに不満を抱くのは贅沢というものです。しかし、ものの道理もわきまえない子供にとって、地味であることは否めません。ではゼロテスターはどうかというと、地球を守れ編に入ると活動範囲がむしろ狭くなり、非常に分かりやすい地球を侵略する悪い宇宙人との戦いのドラマへと変わました。むしろ、幼児指向が強くなったと感じられるほどです。ましてグレートマジンガーです。

 ある意味で、当時のテレビに対しては、ある種の達観が必用とされていたと言っても良いかも知れません。つまり、本当にこだわりのある優れた作品は、テレビを通じては得られないものであると。それが、常識であり、真理であり、優れた作品が電波に乗って流れるのは特別な事態であると。

 それは言い換えれば、極めて強いテレビ不信です。

 さて、別の角度から前夜を振り返ってみましょう。プラスチックモデルや、それ以前のソリッドモデルの世界では戦艦大和のような大物だけが模型化されていました。そのため、大きくて凄い戦艦は一種のヒーローに近い存在であり、リアルな兵器ではなかったかも知れません。この流れを変えたのは静岡4社によるウォーターラインシリーズです。戦艦のみならず巡洋艦や駆逐艦などの補助艦艇まで含めたラインナップは、強烈に刺激的だったのです。ただ巨大で大きな大砲があれば強いという安易なヒーロー像は崩れ去り、小さな船体に強力な武装が詰め込まれた条約型巡洋艦や、小型ながら戦艦すら撃沈できる攻撃力を秘めた魚雷を搭載する駆逐艦などの魅力を、広く知らしめたと言って良いと思います。このような環境に生きていた子供であれば、プロレスまがいの戦いしか見せてくれないヒーローにのめり込めないのは無理もないことだと言えます。

 ウォーターラインシリーズは、1971年より始まり、1974年10月6日のヤマト第1話の放送時点で、初期のラインナップはほとんど発売済みでした。つまり、軍艦を登場させるなら、この水準のリアリティをクリアしてくれねば、とても満足などできないマセガキがテレビの前に座っていたわけです。

 さて、と~のが最初に記憶する宇宙戦艦ヤマトは、何かの学習雑誌に載っていた連載小説です。友達の家でそれを見せられた記憶があります。中身は読みませんでしたが扉のイラストにはデカデカと宇宙戦艦ヤマトそのものが描かれていたことを記憶します。当時は、第3艦橋をドッキングしている小型宇宙船と誤認識していましたが、最初の印象は「いかにも幼児っぽい」でした。それはそうです。ウォーターラインシリーズのパッケージアートを日常的に見てきたマセガキからすれば、そのような感想が出てくるのは当然の成り行きでしょう。マセガキの感想は、どうせ格好だけさ、というものです。いくら格好良くメカが描かれても、謎の円盤UFOのような渋い大人っぽいドラマが展開されることはあり得ない話で、期待するだけ馬鹿馬鹿しいというのが、落胆を回避するための一種の心理防衛だったのでしょう。

 ところが、ある日曜日の朝。新聞のテレビ欄で、小さなさりげない文字を発見します。その日が1974年10月6日であることは間違いないでしょう。そこには、宇宙戦艦ヤマトという文字があったのです。これは見なければならないという激しい気持ちが沸き上がりました。もし、あのイラスト通りのものがテレビの画面に登場するとすれば、それだけでも事件と言えます。

 ですが、話はそう簡単には進みません。庵野秀明氏を襲った悲劇は、けして庵野秀明氏だけの出来事ではなかったのです。アルプスの少女ハイジからチャンネル権を奪取できず敗退したマセガキは、どうしてもヤマトが見たければ、旧型で時代遅れのモノクロテレビの前に座らねばならなかったのです。

 ……続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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