2003年07月24日
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どんな時間に本を読んできたのか…… 通勤通学中? コンパイル中?

Written By: 川俣 晶連絡先

 子供の頃は、本を読む時間について何かを思うことはなかったような気がします。子供は、無尽蔵の時間を持っていて、それを思うがままに使うことができます。その頃は、様々な物事に拘束されて自由がない、と思っていましたが、大人の視点から見れば膨大な自由時間を持っていたことになります。

 高校生のあたりから、時間の自由が少しずつ削られていくことになります。高校生の頃は電車で通学することが必要とされました。特に、高校3年の一年間は、片道1時間以上のかなり長い時間を取られました。それを、重いカバンを持って通学することは、時間のみならず体力まで消耗する行為であったと言えます。とはいえ、この時間は読書可能な時間であるとも言えました。この頃は、本を買う資金力の乏しさも相まって、読書可能時間を満たすだけの本を得られない時期であったと言えます。主要な問題は、本を買う資金の不足であって、読書する時間の不足ではなかったのです。

 大学に入ってしばらく経つと、仕事から入ってくる収入のおかげで、欲しい本がほとんど買えるようになりました。しかし、それは逆に買った全ての本が読み切れない状況ももたらしています。とはいえ、それでも相当量の読書が可能だったと言えます。いったいどんな時間に読めたのかといえば、まず、通学の時間に読書可能だったのは当然として、もう1つ重要な時間がありました。それは、コンパイル(アセンブル)待ちの時間です。仕事で本格的にプログラム開発をしていると、かなり大規模なソースを扱うことになります。それをコンパイル(アセンブル)時間は馬鹿になりません。フロッピーディスクよりも高速なハードディスクを導入し、依存関係を理解して不必要なコンパイルを行わないmakeコマンドを使ってすら、相当な待ち時間が日常的に発生していて、そこは絶好の読書時間となっていたのです。

 しかし、今は、それらの時間がありません。仕事場は自宅から歩いてすぐの場所にあるので、電車に乗りません。通勤中の読書時間というものは存在しないのです。そして、コンパイルする時にまとまった時間待たされることは無くなりました。パソコンの高速化ということもあるし、開発ソフトの進歩もあるでしょう。今や、makeどころか、インクリメンタルコンパイルだの、インクリメンタルリンクといった技術も珍しくありません。

 そのようなわけで、本を読もうと思ったら、意識的にどこかで時間を取らねばならない状況になりました。それがはたして良いことなのか、悪いことなのか分かりません。しかし、状況が変わってしまったことだけは事実です。それに対して、どのような態度を取れば良いのでしょうか。答えはまだ出ていません。少なくとも、わざと長い通勤時間を取ったり、コンパイル速度を下げるために遅いパソコンを使うことに意味はないでしょう。

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