2003年08月14日
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思い出のシャープ製パソコンX1 TurboとBRAIN BREAKER

Written By: 川俣 晶連絡先

 さる用事でYahooオークションを見た後、なんとなく他のオークションのページを見ていると。こんなものを見つけました。

■X1 TurboII CZ-856CB 本体一式

https://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f5148258

 このURLはもしかしたら消滅して見られない、あるいは、登録しないと見られないかもしれません。

 これは懐かしいパソコンです。シャープというと、今ならノートパソコンのメビウスやPDAのザウルスで有名ですが、パソコン史の初期には今とは比較にならないほど大きな存在感のあるブランドでした。

 8bitパソコン初期の時代にあって、シャープMZシリーズと、NECのPCシリーズは、人気を二分したと言って良いぐらい人気がありました。

 しかし、面白いことに、この2つのメーカーはどちらも別の事業部が互いを食い合うような形でパソコンを商品化しています。シャープは、MZシリーズとは別に、パソコンテレビX1シリーズを商品化します。どちらもCPUにZ-80を使っていて、非常に似通ったレンジのパソコンだったと言えます。

 さて、このX1シリーズ、パソコンテレビと呼ばれていますが、現在のような録画パソコンという意味ではありません。専用モニタがテレビチューナ内蔵で、パソコンとしてもテレビとしても使える、というコンセプトでした。実にばかばかしいことですが、万一パソコンとして使いこなせなくても、テレビとして使えるというので買った人もいるそうです。もっとも、テレビ画面にパソコンの表示をスーパーインポーズしたり、プログラムからテレビをコントロールするなどの面白い機能もあったので、その点で馬鹿にはできないことは付記しておきます。パソコンとしてのシステムデザインも良好で、他のパソコンよりも優れた面はいろいろありました。たとえば、グラフィック画面にアクセスするために、富士通はFM-8でサブCPUと通信するというオーバーヘッドの大きな方法を採用し、NECはPC-8801でバンク切り替えというこれまたオーバーヘッドの大きな方法を採用し、日立はLevel-3でメインメモリの一部をグラフィックに割り当てるという利用可能メモリを大幅に減らす方法を採用していましたが、X1はI/Oアドレスにグラフィックも割り当てるというクールな方法を採用していました。これは、Z-80の特定のI/O命令を使った場合には、通常の8bitアドレスではなく、16bitアドレスを指定できるという機能を活用したものです。

 とはいえ、この優れたX1にも致命的な問題がありました。それはタイマー割り込みが無いことです。タイマー割り込みとは、プログラムの実行中に定期的に他の処理を割り込ませる機能です。これは、ゲームなどにおいては、必須のものと言えます。画面を動かしつつ、正しいテンポの音楽をバックで鳴らし続けるには、この機能がどうしても必要です。その1点において、X1は問題があったと言えます。

 しかし、シャープはこのような問題を放置せず、タイマー割り込み機能を持つ改良型のX1 Turboが生まれました。

 私は、SONY SMC-777が最強の8bitパソコンだと思っていますが、文句なくX1 Turboはそれに次ぐナンバー2だと思っています。

 というわけで、何となく、余裕があればX1 Turboシリーズも1台コレクションしたいな、などと思っていたので、オークションで売られているのを見ると、ちょっと見てみたくなりました。今はお金がないし、置き場所の問題もあるので、そう簡単に購入には踏み切れませんが。でも、見たい気持ちは抑えられません。

 そこで、このページを見てみると。

 画面写真にBRAIN BREAKERという文字が見えるではありませんか。

 これは、ほんの少しだけ仕事で関わったゲームソフト……だと思います。もはや記憶が定かではないので、確実なことは言えませんが。

 この頃、私はENIXという会社でゲームプログラムの移植の仕事をしていて、さるゲームをFM-7版からPC-8801とX1(どちらもカセットテープ版とディスク版)への移植していました。そこで、カセットテープ版のあるゲームソフトをディスク版として発売したいので、そのローダを作ってくれと、という依頼を受けました。すでに他のゲームのために作ってあるプログラムのソースを、ほとんどそのまま使うだけでできたような気がします。まあ、いろいろ低レベルの操作が必要とされたり、当時はコピー対策として行われていたプロテクトの機能を入れたりと(ただし、プロテクト技術は別の人の担当)、面倒なことはありましたから、わざわざ私に依頼する価値があったのでしょう。

 そういうわけで、(私の記憶が確かなら)、この画面写真を撮るために起動する際に、私の書いたコードが走っているような気がします。

 それで懐かしい思いが喚起されたので、ついこのような文章を書いてしまいました。

 でも、このゲーム、ぜんぜん自分では遊んでいないんですよね……。どんなゲームかもまった記憶にありません。もったいないことをしました。

 一期一会の精神で、後悔の無いように日々を送らねばならないですね。

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