2003年10月22日
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奇説? フォントを使うとソフトウェアの都合で勝手に改行する!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 こんな記事を見つけました。

特集:秋の夜長はイーブックで過ごす 注目を集める、読書専用デバイス

 ここで出てくる早川さんの変な発言は既に1回以下のコンテンツで書きましたが……。

電子出版でもノンPCの世界にこだわる家電メーカー?

 この記事では、他にも変なことを言っていますね。たとえば、このあたり。

 端末はフォントを利用せず、画像をスキャンした1枚のイメージとして扱うことも、ポイントの1つ(記事参照)。早川氏は、「フォントだと、ソフトウェアの都合で勝手に改行したり、改ページしたりしてしまうケースがある」と話す。

 レイアウト重視系の電子出版の読書システム(たとえば、Adobe eBookなど)で、フォントを使って表示すると勝手に改行したり改ページしたりするような現象に遭遇したことはありません。まあ、オーサリング段階でフォントの関係で改行したりする場合があることは考えられますが、それはレイアウトの調整をオーサリングソフトに任せていることによって発生する現象です。けして、フォントを使っているから発生することではありません。

 更に、スキャンした画像を使うことを「作家の要望に応えた」としていますが、本当でしょうかね。スキャンした画像ということはビットマップに過ぎません。ビットマップということは、永遠に解像度を上げられません。アウトラインフォントを使っていれば、より精細なデバイスになればそれに応じてなめらかな字形を読者に見せられますが、ビットマップでは無理です。読書端末が世代交代して解像度が上がったとき、古いコンテンツの品質が全く上がらないような状況に、はたして作家が納得するでしょうかね? 作家は技術の専門家ではないので、そういう先の状況が分からない場合もあります。それは当然のことです。後になって、こんな筈ではなかった、と憤慨する事例もあります。それを含めて考えれば、このようなやり方が、本当に作家のためを思っているかどうか疑問があります。

 ちなみに、PDF技術を使ったAdobe eBookだと、勝手に改行するようなことはなく、かつ、アウトラインフォントでなめらなか線を維持したまま解像度を上げられるだろうと思います。(技術詳細はよく知らないので断言はできませんが)

 それはさておき、このΣBookというデバイスに関しては、私などが電子出版として期待する文字中心の書籍ではなく、実はマンガを扱いたいのではないか、という印象を受けます。実際、こうしてΣBookの写真を見ると、表示されているのはマンガが多いですし。もし、既存マンガを扱うからスキャンした画像にするしかないのだ、と言うのなら納得できます。それはそれで良いでしょう。

 しかし、それを、未来に生まれるであろう新しい世代の書籍や、文字中心の書籍まで含めた形で「正しい」というのは、あまりに苦しい言い分でしょうね。こういう発言が、記事を書いた記者の曲解ではなく、本当に早川氏が言っているとすれば、彼は明らかに電子出版界の中で多数の敵を作っていることになりますね。

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