2003年12月06日
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Winnyユーザー逮捕以後の状況で感じる、不平等への怒り

Written By: 川俣 晶連絡先

 チャットで、ファイルの転送が速い!という声が上がっているのを見て、「Winny」でソフトウェアを共有状態にしていたユーザ2名を逮捕という事件の余波を実感しています。

 これ以後、違法性があり得るP2P利用が減っているような報道もありましたが、確かにその成果はありそうですね。

 そこで感じるのは、いわゆるP2P技術が、P2P技術の非利用者に対して、いかにネットワーク的なしわ寄せを与えていたかです。

 つまり、本来使えていたはずの帯域が、P2P利用者によって奪われていた状況というのが、確かにありそうだということです。

 インターネットの特徴は、基本的に通信の確実性が保証されない代わりにローコストを実現し、誰でも使えることにあるように思います。それを実現するには、誰もが常時帯域を使い切らず、ほとんどの時間は帯域を大きく余らせている状態が必須の前提となります。しかし、P2P技術を使っているユーザーには、上りが長時間帯域が一杯に埋まっている、というような状況があるようです。このような使い方は、限定された帯域を共有するというネットワークの性質からすれば、好ましいものではありません。要するに、P2P技術の利用者の方がより多くの資源を使っているにも関わらず、その資源を維持するためのコスト負担は平等ということになるからです。これは、あまりに不平等というものです。

 実際に、これらの技術を使って交換されるファイル内容の違法性について考えないとしても、ネットワークを維持するコスト負担の不平等という問題は提起可能であるような気がします。

 とまあ、一応冷静な言葉で書いてますが、この問題に関して私はかなり怒ってますよ。たぶん、具体的に金銭に換算可能な損害を与えられていると思います。もし、P2P技術の利用者というグループに対して、非利用者から損害賠償を請求する手段があれば、せひ請求したいところです。ですが、現実的には、それは難しいですね。難しいからこそ、なおさら怒りも増えるというものです。

 P2P技術の利用者は、少なくともこのような感じ方をしている人間達から怒りを向けられる可能性があることを知っておくべきだろうと思うし、非利用者はもっと怒って良いと思います。

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