概要 §
明治時代の剣客のドラマである「るろうに剣心」の過去のドラマとなるOVAシリーズです。
天涯孤独の少年は、剣心という名をもらって、剣術を教えられます。しかし、世の中が乱れているのに、それを座視できないと師匠の元を飛び出し、長州の要人暗殺役として働きます。主人公が斬った男の許嫁だった女が正体を隠し、主人公に近づきます。二人はいつし恋仲になりますが、ついに主人公殺害の時が訪れ、女は死に、主人公は頬に傷を受けます。
ここが見どころだ! §
試しにアメリカからDVDの直輸入を試みたところ、実に面白いものを手に入れてしまいました。
この作品は、他の「るろうに剣心」とは独立して評価を下しても良いと思います。
特に凄いのは、長州勢が住み込んでいる京都の宿屋の雰囲気ですね。宿屋を運営する京都人達は長州の連中を田舎者として馬鹿にしている部分があります。しかし、単に馬鹿にするだけでなく、目を配ったり、きちんと世話をすることも怠りません。けして京都人は素晴らしい、とは描かないし、かといって、よそ者を全て田舎者扱いする嫌な奴ら、とも描きません。そして、その時代の長州勢の存在意義と、京都人の意識。そういったものを、そこまでしなくても良いのに、と思うレベルで突っ込んで描こうとする意欲があるように感じられます。
一方で、主人公が使う剣技は明らかにリアリティがありません。しかし、閉塞感のある時代を爽快に切り裂く剣技が、浮いてしまうことはありません。それは、確かにドラマの一部をなすものとして、きちんとドラマの中に織り込まれているのです。
そのあたり、時代アニメの特徴と考える以下の条件を見る感じがします。
- 歴史的なリアリティをストイックに追求する部分がある
- 現実の歴史からの痛烈に離反する部分がある
