2004年12月30日
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自分に愛される根拠が存在しないことを自覚している主人公!?

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の双恋の感想。

サブタイトル §

最終回 「春遠からじ・・・」

あらすじ §

 桜月姉妹を傷つけたと落ち込む望は、何もかもおかしい、これは双子塚の呪いだと決め付けます。しかし、みやびに、それは自分が傷つきたくないからだと言い切られ、望は覚悟を決めて剣持に転校をやめさせるように言いに行きます。

 自動車を自転車で追いかける執念深い追跡を経て、一条姉妹やクラスメートからの嘆願もあり、剣持は転校を撤回します。

 望を巡る恋の行方は高校入学まで持ち越しとなります。

 彼らは全員、望みの高校に合格して合格パーティーが開かれ、全ての双子達が集まります。しかし、恋の行方は曖昧のままに残ります。

感想 見られることに有自覚的な男子主人公 §

 この作品は、自分は濃いつもりの薄いオタク層に向けた美少女カタログアニメとは一線を画す形で終わったと思います。

 どこが一線を画しているのかと言えば、まず、主人公が、自分に愛される根拠が存在しないことを自覚しており、それを思い悩んでいる点があげられます。

 それは、この主人公が、自分が見られ評価される立場だと意識していることを意味します。

 美少女カタログアニメは面白くないのであまり見ませんが、私が見ている乏しい事例の中では、たいていの場合、なぜ主人公ばかりがもてるのかという根拠の不在について主人公自身が無自覚であり、そして主人公は自分が他人と比較され値踏みされる存在であるという自覚を持ちません。それは、その主人公に感情移入するオタク層の特質と重なります。

 このあたりの話はササキバラゴウさんの「〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター」が参考になります。

 そのようなオタク向けアニメの典型的なパターンから逸脱し、オタクらしからぬ行動に出る主人公を持った点が、この双恋の特異性ではないかと思います。

 さて、このことは、逆説的になぜ望ちゃんがもてるのか、という理由になり得ます。つまり、自分に愛される根拠がないことを知っていて、他人と比較され値踏みされる立場であると自覚することができるからこそ、望は有自覚的あるいは無自覚的に自分の価値を高めるような行動を積み重ねているということです。たとえば、天文が好きであるという趣味はこれにあたります。自分に根拠がないことを知っているからこそ、天文という大きな価値に対する情熱を見せることで、自分の価値を高めようとしていると言えます。そのような社会的に開かれた上昇志向が、女性から見て好感を感じさせるのは当然のことと言えます。

 恋敵となる桧山優也がなぜ愛されるに足る存在に成り得ないかも、同じ理由で理解できます。彼は、自分に愛される根拠が存在しないことを自覚していません。自分の夢に向かって着実に進むことができれば、それで好きな女の子から愛されることができると考えています。しかし、彼が行っていることは、単に自分の夢に向かって進んでいるだけであり、「社会的に開かれた上昇志向」とは言えません。

 もっと分かりやすく言えば、望は常に相手の女の子の立場に立ってその考えを理解しようとしていますが、優也は結局自分の立場から離れることができません。つまり、望の態度は双方向的なコミュニケーションになっていますが、優也の態度は一方的な押しつけにしかなっていません。

 もっと拡大解釈してしまえば、優也とは最も理想化されたオタク像であり、それを否定することがこの作品の結論であるとも言えます。

 つまり、男性オタクの勝手な思い込みに対する痛烈なクレームです。

感想 女性からのメッセージ §

 今回、特徴的なことは、みやびが望に、一条姉妹が剣持に告げる痛烈な言葉の数々です。どちらも、男性に身勝手さを女性の立場から告発するものです。

 これも、男性オタクの勝手な思い込みに対する痛烈なクレームと見ることができます。

感想 なぜ中学生 §

 なぜ、この作品の主人公達は中学生であるのか。

 それは、ちょっと引っかかる謎でした。

 しかし、その理由がやっと分かりました。

 中学生は、まだ恋愛問題を棚上げにして先送りできる年代なのですね。

 このような多数の美少女を並べてオタク相手にビジネスをしようという企画であれば、特定の美少女のみをハッピーエンドにさせ、他の美少女達を泣かせることはできません。この問題を解決しようとすると、美少女から人間性を奪って記号にしてしまうか、あるいはそもそも唯一の男性主人公の存在を希薄化するしかなかったような気がします。しかし、この作品では、「若さ故の棚上げ」という別の解決策を提示したことになります。少女達を人間として扱い、そして全員笑顔のまま終わらせるための1つの工夫だろうと思います。たぶん。

今回の名台詞 §

一条姉妹「友達だから」

 この台詞は痛烈ですね。つまり、この瞬間に望という主人公、男の子の存在は消し飛んでいます。一条姉妹と桜月姉妹の関係を「友達」とすることによって、これは一条姉妹、桜月姉妹、剣持の3者の問題となります。それゆえに、この作品は望を中心に美少女達か取り囲む構造ではなく、少女達もまた血肉の通った人間として描かれていると言えます。

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