謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!
今日の巌窟王の感想。
サブタイトル §
最終幕
渚にて
あらすじ §
5年後。
若者達は、それぞれの道で幸せに暮らしています。
戦争は終わり、国交回復が見えてきました。
アルベールは、必死に勉強し、必死に生きてきたことをフランツの墓前で告白します。
アルベールの屋敷は、政府に物納されてしまいます。最後に中に入ったアルベールは、母の絵の裏側に隠された手紙を発見します。それは、エドモン・ダンテスから母に宛てたものでした。アルベールは、モンテ・クリスト伯爵は自分が生まれる前からここにいた、と感じます。
感想 §
今回は、店や街並みの描写が凄いですね。
それだけで納得させられてしまいます。
特に、パリはともかくとして、エデの星の町並みは、今回しか出番がないはずなので、たったこれだけのために、あれほど緻密な映像を作ったことになります。この手間は壮絶ですが、それがもたらす効能は計り知れないですね。
しかし、危ういムードが漂うのは、アルベールの態度です。今回、アルベールが見せた行動は、フランツの墓参りをしたり、エドモンの手紙を切っ掛けに伯爵のことを思い出したり、そんな死んだ男達のことばかり。生きている女性達、ユージェニーやエデのことを思ったりするシーンがほとんどありません。しかも、最後のシーンは一人で歩いていくアルベールです。仲間と合流するシーンで終わるわけでもありません。
はたして、アルベールの未来はどっちだ!?
今回の一言 §
アルベールが読んでいる本ですが、古風な本の姿をしているのに、ページは表示パネルらしく、すっと文字が消えます。これは非常に魅力ある電子書籍リーダーですね。
シリーズ全体を通した感想 §
これは面白いですよ。
ビジュアル表現も鮮烈なら、それによって見せるあまりにストレートなドラマも鮮烈。いかにストレートであろうと、現在の当たり前と食い違う以上、そこに鮮烈さが生まれます。
古典的な小説を原作に持ってくる、という企画の大胆さも面白いですね。基本骨格は現在にも通用する凄い作品はいくらでもあります。中でも、特に古典的に有名な作品を持ってきたことは、非常に面白いです。デュマの作品は古典の中でも特に別格です。
そして、設定を未来に変えたこと、視点をエドモンではなくアルベールに置いた改変も、非常に有効に機能したと思います。現在の一般的な視聴者を対象とした作品作りと言うことを考えると、おそらくはリアルな甲冑よりも、巨大ロボットの方にリアリティを感じるでしょう。他にもいろいろな面で、未来に設定することでリアリティが高まる事例が多いと感じました。視点がアルベールであることも、あまりに激しい経験を積み重ねる描写をストレートに視聴者に叩き付けないという効能があると思います。
そして、主題歌の魅力。特にエンディングが凄く良いですね。
更に、各話の冒頭で語る巌窟王の言葉の魅力。
いろいろな意味で、画期的な作品だったと思うし、かなりのところまで成功していると思います。特に、かなりの数の視聴者に作品が届いているという点が特筆すべきところだと思います。
こういうチャレンジが行われ続ける限り、日本のアニメは滅びないだろうな、という感じがします。