Visual Studio 2005 Express Editionが有償提供になったようなので、無償コンパイラへのニーズが発生しています。
Windowsで使用できる無償コンパイラはいくつかありますが、その1つとしてBorland C++ 5.5.1があります。
Borland C++ 5.5.1は、コマンドライン版のみが無償で利用できます。
しかし、ユーザー登録が実質的に要求されます。
インストーラはありますが、環境変数や必須の設定を行ってくれません。
以下に、Hello Worldをコンパイル実行するまでの手順をメモします。
ユーザー登録とダウンロード §
まず、ボーランド MyPageにユーザー登録する必要があります。
ボーランドのユーザーIDの入力欄があるので、ボーランド製品のユーザーはその番号を調べてから登録すると良いでしょう。
登録が完了したら登録したIDでログインし、以下のページに進みます。
ここで、C++ Compilerを選択し、ライセンス発行のボタンをクリックします。
すると、ファイルをダウンロードするURLが電子メールで通知されるので、そのURLからインストーラのEXEファイルをダウンロードします。
インストールと設定 §
インストーラのEXEファイルを実行すると、Borland C++ 5.5.1がインストールされます。
標準のインストール先は、c:\borland\bcc55となります。Program Filesの下ではありません。システムがDドライブでもc:になります。長いディレクトリ名は環境変数の設定が面倒なので、あえて変えないでこのまま使います。
インストール後は、環境変数が何も設定されていないので、事実上使えません。
システムのパス設定に追加しても良いのですが、今回は使用前にバッチを走らせるという前提で、以下のようなバッチを用意します。そして、コマンドプロンプトを開いたら、これをコマンドプロンプト上で最初に実行しておきます。
setupenv.bat §
path c:\borland\bcc55\bin;%Path%
コマンドプロンプトからbcc32リターンと打って、確かにコンパイラが実行できることを確認します。
次に、インクルードファイルとライブラリのパスを設定します。
bcc32.exeと同じディレクトリに(c:\borland\bcc32\Bin)に、以下のテキストファイルを作成します。
bcc32.cfg §
-Ic:\borland\bcc55\Include
-Lc:\borland\bcc55\Lib
Hello Worldの作成と実行 §
任意のディレクトリに以下のファイルを作成します。
hello.c §
#include <stdio.h>
int main()
{
printf("Hello World!\n");
return 0;
}
次に、コマンドプロンプトのカレントディレクトリを上記ファイルのあるディレクトリに変更した上で、以下のコマンドを入力します。
これで、エラーが出なければ実行ファイルhello.exeが生成されています。
このまま、helloリターンとして実行し、以下のメッセージが出力されることを確認します。
余談 §
ボーランドのコンパイラは「使えない」と一度は投げ出した私が、このような情報を調べねばならないあたり、マイクロソフトの開発製品の商品戦略が上手く機能していないという感じを受けます。