うしおととら 8紀伊國屋書店
Written By: 川俣 晶
やっぱり、これは凄い作品ですわ。
たとえば、p197。1ページ全体が1枚の絵になっていますが、北斗星の客車がざっくり割れていて、屋根上で戦う潮、化け物に取り込まれたとら、車内で子供を庇う先生の全てが含まれています。極めて立体的な構成でありながら、全てがすっと1枚の絵に収まっています。思わず、すげえと思ってしまう凄い絵です。
ストーリー展開を支えるギミックという点でも、ブルートレインに連結されている電源車の存在をきちんと取り込んでいるのはさすがですね。たとえば、山手線で先頭車両から後ろを切り離して、先頭車両だけで走っていくような描写を平然と行う(先頭車にモーターは付いていないのに!)アニメ作品があったりするこの世の中で、これほどきちんと「列車」を描く作品があるのは嬉しいと思います。
人物描写の点でも、ゲストキャラ達が非常に良いのです。最初のエピソードの雪女も魅力があるし、後半の自分を嫌う駄目少年であるとか、潮を付け狙う坊さんなども、けして単純ではなく、奥行きがあって楽しませてくれますね。
こりゃ、次の巻もまた買ってしまうなぁ。貧乏なのに……。
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