私は行っていませんが、World Wide Web Conference 2005でWebサービス有害論(Web Services Considered Harmful)という パネルディスカッションが行われたそうです。
それについて、村田真さんが、以下のようなことを述べています。
更に、上記に関連してAtsushiEnoさんの以下の文章にも目を通しておく価値があるかも知れません。
そして何を思ったのか §
これは、だいぶ前から分かっていた状況が、明確に進行していることを示していると感じました。
XML Schemaには問題が多くあり、いわゆるWebサービスにはそれとは別の意味で(あるいは同根の類似の要因による)問題が多くあると言うことです。(2005年5月23日追記 XML Schemaの問題といわゆるWebサービスの問題は別個のものです。XML Schemaの問題については、ぜひこちらも目を通してください。)
そして、それにも関わらず、脳天気にXML Schemaであるとか(SOAPベースの)Web サービスの未来を信じ込んで全く疑わない人が多く見られると言うことです。
もう少し別の言い方をすれば、マイクロソフトという企業が強く押し出している技術であるXML SchemaやWebサービスを、マイクロソフトの言い分を鵜呑みにして批判的に検証することがない人達、と表現しても良いかもしれません。
なぜこの文をここに書く気になったのかと言えば、いわゆるMSMVPと呼ばれる人達の中に、このようなタイプの人達をしばしば見かけ、かつ、このサイトをMSMVPの幾人かが見ているであろう、ということがおおむね把握できているためです。
念のための補足 §
念のために付け加えれば、これはアンチMSとしての発言ではありません。
XML SchemaやWebサービスを売り込もうとしている企業には、アンチMS系の企業も多数あります。
そして、マイクロソフトは、巨大組織であり、それが採用した一部の技術に否定的であることは、マイクロソフトあるいはその製品を否定することとイコールではありません。(否定するどころか、Visual C++ 2005で使うC++/CLIはとても楽しみにしているぐらいです)
それに付け加えるなら、マイクロソフトは常勝企業ではないし、マイクロソフトが採用した技術が、金と影響力によって常に標準になってきたわけでもありません。消えて無くなったマイクロソフトの素敵な技術の数々など、いくつも数え上げることができます。
結局のところ、マイクロソフトの強さとは失敗を糧に変化することができる能力であり、失敗を指摘して変化を促すことは、むしろ親MS的な態度とすら言えます。(そのような意味で、私はMSの痛烈なる批判者であったことが多いはずです)
まとめ §
さて、話を戻すと。
まだ、XML SchemaとWeb サービスに明るい未来があると信じているなら、立ち止まって状況を再チェックした方が良いでしょう。
私としては、XML SchemaとWeb サービスが駄目であるとは断言しません。
断言しませんが、かなり高いレベルのリスクを背負った技術であるという評価はしています。
もちろん、これらの技術が役に立つ場面はあって、私も利用する場合があります。しかし、それらの技術が歌い上げる理想的な世界は到来しないかも知れない、という認識を持つことは健全なる技術者が持つべきバランス感覚ではないかと思います。