2006年01月04日
川俣晶の縁側ソフトウェア技術雑記total 5866 count

絶対の知性に自信があるそこの君! 檜山正幸さんの『プログラマのための「ゲーデルの不完全性定理」』を読んで自信をぶっ壊してみないか!?

Written By: 川俣 晶連絡先

 時々、以下のようなことを書くことがあります。

世の中には実用時間内に計算可能な問題と、実用時間内に計算できない問題と、そもそも計算できない問題がある

 そして、コンピュータを使った何かの応用のアイデアを聞いたときに「それは無理ではないか?」と私が言ったとき、かなりの割合は上記の「そもそも計算できない問題」ではないか、という疑念に該当します。

 その場合の適切なリアクションは、その問題が実用的な時間内に計算可能である根拠を示すことです。しかし、ほとんど確実に、やる前からダメと決めつけるのは敗北主義だ、というようなニュアンスの精神論的リアクションをもらいます。

 もちろん、いかに説明しようともそのようなリアクションしかできない人は、「発展途上の知性の持ち主」という判断を下すしかありません。対等に話す相手ではないということですね。いや、話すことでお金がもらえるなら、いくらでもこちらのレベルを相手に水準まで下げてお話をしてあげますよ。それがサービス業というものです。

余談。

ちなみに、なぜリアクションのパターンが「ほとんど確実」なのかといえば、理由は簡単でしょう。「そもそも計算できない問題」の存在を認識している人なら、私が実現可能性を懐疑するようなアイデアは、他人に語る前に自分で却下しているからでしょう。

 さて、話を本題戻します。

 世の中にはそもそも計算できない問題がある、という考え方の重要なバックグラウンドの1つとなるのが、ゲーデル定理(ゲーデルの不確定性原理)です。

 「ゲーデル・エッシャー・バッハ」に途中で挫折したような人間が偉そうに解説することはできませんが、ゲーデルの不確定性原理というのは形式システムに関する定理であって、哲学や世界観ではありません。そこを誤解して勝手な解釈を拡張している人が多いので、そこは注意が必要です。

 しかし、現在のコンピュータ(デジタル式のノイマン型コンピュータ)は、ゲーデルの不確定性原理の対象としている形式システムの一種と見なすことができると思うので、コンピュータが計算可能な問題と計算できない問題と分けるための1つの指針とすることができると思います。

 ということを「思う」だけで、きちんと説明することができないのが落ちこぼれの私の悲しい立場です。

 しかし、この悲しさから救ってくれる救世主が出現しました。しかも、勝手かつ曖昧な拡張抜きでやってくれそうです。

檜山正幸さんの『プログラマのための「ゲーデルの不完全性定理」』 §

 檜山正幸さんが、ゲーデルの定理をコンピュータのプログラムに即して語ってくれるそうです。

 JavaScriptで説明してくれるそうなので、読める人は多いはずです。

 ゲーデル? メーテルの親戚か? というような人は、ぜひ勉強しましょう!

 なぜ勉強して欲しいと思うのか、その理由は以下に書きます。

19世紀からの脱却 §

 個人的に、よく「20世紀の知とは分かることと分からないことを分ける知だ」と言うのも、このゲーデルの定理と関係があります。証明不可能の命題の存在を明確化することは、まさにこれに該当します。

 しかし、「俺様の知性と無限のCPUパワーさえあればどんな問題でも解決できる」というような態度を取っている困った人は未だに後を絶ちません。

 ゲーデルの定理のような新しい知識はまだ浸透していないのではないかと思ったあなた……。

 ゲーデルの定理は20世紀の初頭に生まれたものです。ほとんどの人にとって、生まれる前の出来事でしょう。

 つまり、上記のような困った人は、まだ19世紀の世界観を生きているのだと思います。

 既に21世紀に入ったのだから、せめて19世紀の世界観ぐらいは脱却してくれよな……というのが私のささやかな願いですが、これは無理のある願いでしょうかね? (汗。

オマケ §

 たまに検索してみると、ゲーデル、エッシャー、バッハに20周年記念版などというものが出ていてびっくり。記念版を作るだけのニーズがあったのか!

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絶対の知性に自信があるそこの君! 檜山正幸さんの『プログラマのための「ゲーデルの不完全性定理」』を読んで自信をぶっ壊してみないか!?

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 時々、以下のようなことを書くことがあります。

世の中には実用時間内に計算可能な問題と、実用時間内に計算できない問題と、そもそも計算できない問題がある

 そして、コンピュータを使った何かの応用のアイデアを聞いたときに「それは無理ではないか?」と私が言ったとき、かなりの割合は上記の「そもそも計算できない問題」ではないか、という疑念に該当します。

 その場合の適切なリアクションは、その問題が実用的な時間内に計算可能である根拠を示すことです。しかし、ほとんど確実に、やる前からダメと決めつけるのは敗北主義だ、というようなニュアンスの精神論的リアクションをもらいます。

 もちろん、いかに説明しようともそのようなリアクションしかできない人は、「発展途上の知性の持ち主」という判断を下すしかありません。対等に話す相手ではないということですね。いや、話すことでお金がもらえるなら、いくらでもこちらのレベルを相手に水準まで下げてお話をしてあげますよ。それがサービス業というものです。

余談。

ちなみに、なぜリアクションのパターンが「ほとんど確実」なのかといえば、理由は簡単でしょう。「そもそも計算できない問題」の存在を認識している人なら、私が実現可能性を懐疑するようなアイデアは、他人に語る前に自分で却下しているからでしょう。

 さて、話を本題戻します。

 世の中にはそもそも計算できない問題がある、という考え方の重要なバックグラウンドの1つとなるのが、ゲーデル定理(ゲーデルの不確定性原理)です。

 「ゲーデル・エッシャー・バッハ」に途中で挫折したような人間が偉そうに解説することはできませんが、ゲーデルの不確定性原理というのは形式システムに関する定理であって、哲学や世界観ではありません。そこを誤解して勝手な解釈を拡張している人が多いので、そこは注意が必要です。

 しかし、現在のコンピュータ(デジタル式のノイマン型コンピュータ)は、ゲーデルの不確定性原理の対象としている形式システムの一種と見なすことができると思うので、コンピュータが計算可能な問題と計算できない問題と分けるための1つの指針とすることができると思います。

 ということを「思う」だけで、きちんと説明することができないのが落ちこぼれの私の悲しい立場です。

 しかし、この悲しさから救ってくれる救世主が出現しました。しかも、勝手かつ曖昧な拡張抜きでやってくれそうです。

檜山正幸さんの『プログラマのための「ゲーデルの不完全性定理」』 §

 檜山正幸さんが、ゲーデルの定理をコンピュータのプログラムに即して語ってくれるそうです。

 JavaScriptで説明してくれるそうなので、読める人は多いはずです。

 ゲーデル? メーテルの親戚か? というような人は、ぜひ勉強しましょう!

 なぜ勉強して欲しいと思うのか、その理由は以下に書きます。

19世紀からの脱却 §

 個人的に、よく「20世紀の知とは分かることと分からないことを分ける知だ」と言うのも、このゲーデルの定理と関係があります。証明不可能の命題の存在を明確化することは、まさにこれに該当します。

 しかし、「俺様の知性と無限のCPUパワーさえあればどんな問題でも解決できる」というような態度を取っている困った人は未だに後を絶ちません。

 ゲーデルの定理のような新しい知識はまだ浸透していないのではないかと思ったあなた……。

 ゲーデルの定理は20世紀の初頭に生まれたものです。ほとんどの人にとって、生まれる前の出来事でしょう。

 つまり、上記のような困った人は、まだ19世紀の世界観を生きているのだと思います。

 既に21世紀に入ったのだから、せめて19世紀の世界観ぐらいは脱却してくれよな……というのが私のささやかな願いですが、これは無理のある願いでしょうかね? (汗。

オマケ §

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