未発売ですが、既にAmazonに情報があって予約受付中になっているようなので書いておきます。
ちなみに、まだ著者献本分も未到着なのでまだ見ていません。
どういう本か? §
趣旨は「まえがき」に書いてあるので引用しましょう。
(こちらの原稿からの引用なので、出版された書籍と細部が異なるかもしれません)
まえがきより引用 §
コンピュータ業界は、大型コンピュータの時代、ハードウェアを提供するベンダーが主導権を握っていました。
パソコンの時代、ソフトウェアを提供するベンダーが主導権を握っていました。
そして、インターネット時代の今、主導権はサービスを提供する者達に移りつつあると言えます。
マウスドラッグでスクロールできる地図を提供するGoogle Mapsや、使いやすいユーザーインターフェースを提供する電子メールソフトであるGMailのような人気のある新しいサービスが、人々を魅了し、業界をリードしていきます。
このような時代の転換点は、人生の転換点であり、人生のチャンスです。
新しい秩序はまだ混沌としています。
ここで、何か素晴らしいサービスを作り上げ、提供できれば、それがこの先の新しい時代の定番サービスとして定着するかもしれません。多くの利用者から支持されるサービスを自らの手で作り上げることは、大きな喜びでしょう。
そうです。
本書は、そのような未来の可能性を勝ち取るための最初の1歩となるべく書かれたものです。
Ajaxは多くの技術の集合体であるため、全貌を学ぼうとすると膨大な手間が掛かります。これでは、小さなサービスを自作して試してみる、ということも容易にはできません。
そこで、本書は、Ajaxに関する技術を広く浅く知ることを目的として構成しました。つまり、Ajaxによるサービスを自作できる最低限の解説を行っています。
本書を読み、小さなサービスを作ってみれば、いろいろなことが分かってくるでしょう。具体的に必要とする知識も見えてくるでしょうから、それを解説した専門書を選ぶこともできるでしょう。膨大な書籍に埋もれるのではなく、必要な書籍だけを選ぶことができるはずです。
ただし、HTMLとCSSについては、既にご存じの方も多いと考えて説明を割愛しました。もし、HTMLとCSSをご存じない方は、それらの入門書も一緒に手に取ると良いでしょう。
つまり…… §
この本は時代の転換点に転がっているチャンスを掴んで、何かの成功(大きな成功か小さな成功かは人それぞれとしても)を掴みたいと思う人のために書かれています。
HTMLとCSSだけは予備知識を要求していますが、それ以外はプログラミングの素人で構いません。必要なのは、自分でサービスを作って成功するという強い意欲だけです。
おそらくは、技術のプロの人達が読んでも面白くない本だろうと思います。今更「足し算は+と書いて行います」のような話も含まれていますから。
Ajaxの本なの? XMLの本なの? §
Ajaxの本です。
XMLについての説明の比率が比較的多いのは、単純に日の目を見なかったXML入門書のテキストを転用することができたためで、JSONの説明もしっかりと含まれています。また、読み通せばXMLよりJSONの方が良さそうなことは分かるように書いています。
JSONへの過渡期にかぶって、ちょっと趣旨が貫徹できなかったのは失敗でした。
経緯 §
昨年(2005年)の秋口、XMLに関する本の企画が頓挫した後を受けて、今ならAjaxの本なら行けるのではないだろうか……という話になり、Ajax入門書を書き下ろすということになりました。
この時点で、主テーマはあくまでXMLであって、AjaxとはXML周辺に見出された人気キーワードに過ぎなかったわけです。ただし、いくつかの理由から私はAjaxを有望と見なしていました。
さて、このあと、Ajaxに関する調査を本格的に開始します。
この結果が2005年09月28日に作成した日本語で読めるAjax関連情報のリンク集の最初のバージョンです。これが意図せぬ大ヒットとなって、AjaxうきうきWatchの執筆を依頼されたり、あのYahoo!が向こうからディレクトリに掲載したいと連絡してきたり、大事になってしまいました。
その後、2005年10月02日にAjaxの長所・短所・実装に関するメモ (暫定版)という暫定版のまま未完の文書を書いていますが、これもAjaxについての調査の一部です。
そして、実際に自分でテストプログラムの開発に着手し、できたものが電子小説・Ajax読書プログラム テストNo.1というわけです。これは、まさに本書の主要なサンプルプログラムで、ソースコードの解説は本書に含まれています。
これが出来たところで、やっとAjaxを把握できたと判断して執筆に取りかかりました。年末年始の休みを返上して書き上げました。
しかし、それすら通過点に過ぎなかった…… §
実はAjaxをバリバリやっていたら、いつの間にかWeb 2.0の世界にも足を踏み入れつつあります。別の出版社から出るWeb 2.0の書籍を既に書き上げています。これは、完全にビジネス書的なもので、本書にあるような技術の入門的な側面はありません。まあ、本当に出版までこぎ着けることができるかどうかは分かりませんが。
しかし、この2冊には、私の他の書籍とは異なる決定的な共通点があります。
それは、技術者やプログラマを想定読者としていないことです。
ごく普通の、一般の人を想定して書いています。つまり読者に技術知識は要求しません。要求するのは「意欲」だけです。
それはとても大切なことだと思います。私にとっても、世の中にとっても。
分かる人だけ分かれば良い……という閉ざされた態度は何も良いことを生みません。
というわけで、あまり読んでいる編集者は多くないと思いますが、ここで明示しておきましょう。私は、技術者向けの原稿よりも、非技術者向けの原稿を書きたいと思っています。その方が価値あるやりがいの大きな仕事だと考えています。