2007年01月18日
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PCホビイズム宣言【草案】

Written By: 川俣 晶連絡先

 以下はPCホビイズム宣言と題された文書の草案です。

 広く意見を募るために公開するものであり、まだ完成版ではありません。

 ご意見をお持ちの場合は、PCホビイズムメーリングリストまでお寄せください。

 PCホビイズムに関しては、PCホビイズム暫定ポータルも御参照願います。

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PCホビイズム宣言【草案】

2007年1月X日

PCホビイズム教祖(自称) 川俣 晶

● PCホビイストという人々

 パソコンを使うことを面白いと思う人々がいる。

 どのような有益な成果を出せるかに関係なく、面白いからパソコンを使う人々がいる。

 このような人々を、PCホビイストと呼ぼう。

 PCホビイストは、パソコンユーザー全体から見れば少数派に過ぎないだろう。

 だが、誰もが使う当たり前の道具となったパソコンの普及率から見れば、この少数派の人数はけして小さいものではない。

 それにも関わらず、現在、このような人々の存在は社会から忘れられがちだと言えるだろう。

 なぜなら、パソコンの実用性が飛躍的に向上した結果として、多数派の興味はパソコンが自分の抱える問題をいかに解決してくれるかに向いているからだろう。

 当然のことながら、PCホビイストが行う活動は、誰かの問題を解決するためのものではない。必然的に、注目を浴びにくくなっていると言えるだろう。それどころか、問題解決を意図しないという時点で「誤った行為」として糾弾される危険性すらあり得る。

 たとえば、「ソースコードを公開していない」「オブジェクト指向的に正しくない(※1)」「HTMLの使い方がW3Cの勧告に従っていない(※2)」「公開した以上は大手ソフトハウスが販売する商品と同レベルの責任を取れ」といった非難はあり得るだろうし、もっと異なるタイプの非難もあり得るだろう。

● そのような非難は不当である

 だが、そのような非難は不当であるとここで明言しよう。

 ただ単にパソコンを面白いという理由で使うことは、パソコンの正当な利用方法の1つである。そのようにしてパソコンを使った場合、問われるのは「面白かったか否か」であって、「正しさ」や「問題解決能力」は問われるべきではない。

 また、「面白さ」のために作られたソフトウェア等を、「正しさ」や「問題解決能力」のために作られたソフトウェア等と混同してはならない。それは違う目的のために作られた別のものなのである。

 ただしPCホビイストは、面白ければ何をしても良いというわけではない。他人に迷惑を掛けるような行為は、けして行ってはならない。これがPCホビイストに対して科せられるべき唯一の禁止事項である。

 さて、このような考え方は現在のパソコンの世界では必ずしも一般的ではない。そこで、それを明瞭に印象づけ、アピールするために、このような考え方にPCホビイズムという名前を付けてみたい。

● PCホビイズムは何でないか

 ここで注意すべきことは、PCホビイズムは誰かの行動を拘束するための理念ではないということである。PCホビイズムは、PCホビイストの行動を肯定し、それが正しいという価値観を提示するために存在する。PCホビイストは、PCホビイズムという考え方の有無や、そこに書かれた内容に影響されることなく、好きなことを行って良い。当然のことながら、PCホビイズムが掲げる「面白さ」という価値観の内容は、個々のPCホビイストによって異なるものである。つまり、当人が面白ければ良いのである。万人が面白いと認める必要はない。

 また、PCホビイズムは全てのパソコン ユーザーがPCホビイストになるべきだという主張でもない。パソコンをホビーとして楽しむ行為は、世の中に多数あるホビーの1つとしてパソコンを選び取ることから始まる。その選択の自由は、全面的に肯定されるべきである。PCホビイズムとは、パソコンを自分のホビーとして選び取った人々に対する考え方である。

● 面白さのお裾分け

 さて、PCホビイズムは任意選択のオプションとして「面白さのお裾分け」という概念を提唱する。PCホビイストが行う「面白いこと」は、多くの場合、他にも面白いと思う誰かがいる。それは全世界にたった3人しかいないかもしれないし、何十万人もいるかもしれない。彼らから見れば、誰かの行った「面白いこと」を見聞きすることは、一種の楽しい行為となる。このような者達を、PCホビイスト・ファンと呼ぼう。PCホビイスト・ファンも、世の中の全体からすれば多数派ではないかもしれないが、けして少数ではない。

 PCホビイストから見て、ファンの存在は大きな意味を持つ。一人で完結する面白さよりも、たとえ少人数でも他人から「面白い」と認められた方が手応えが大きいだろうし、モチベーションも沸くだろう。

 ここで「面白さ」は技術力に比例しないことに注意を払おう。ビギナーのPCホビイストが作った初歩的なプログラムであっても、その過程での驚きや戸惑いが「僕らも昔はそうだった」と共感を得ることで、他人からも「面白い」と認識されることもあり得る。

 さて、PCホビイストがファンのために自分の行った「面白いこと」を意識的にアピールするようになれば、それは一種のエンターテイメントとなる。PCホビイストが、そのようなエンターテイメントを行うことは義務ではないが、PCホビイスト・ファンから見れば「面白いこと」をしているのならばぜひ面白さをアピールして欲しいと願うものである。

● 社会貢献するPCホビイズム

 では、PCホビイスト・ファン以外の一般の人々から見て、PCホビイストとは何の意味もない存在なのだろうか? 一見して、自分の面白さのためにパソコンを使う人々が、何か有益な貢献をしてくれることはあり得ないかのように思える。

 だが、そうではない。

 「面白さ」によって突き動かされるPCホビイスト達には合理的な歯止めが存在しない。そのため、しばしば彼らは過剰にやり過ぎる。やり過ぎた結果として、時として生まれるのは、画期的な新技術であったり、桁違いに優れたプログラムであったりする。そして何より忘れてはならないのは、やり過ぎたPCホビイストの持つ技術力は、あっさりとプロの平均水準を凌駕することである。

 つまり、PCホビイズムが肯定する世界は、事実として画期的な技術やプログラム、飛び抜けて優れた人材を生み出す宝庫として機能して来た。これが、PCホビイズムが持つ社会貢献の機能である。

 しかし、忘れてはならない。PCホビイズムにとって、社会貢献は目的ではなく、副産物に過ぎないことを。それは、成り行きによってたまたま生まれるものであり、確実に生まれるように要請すべきものではない。

 つまり、たとえ個々のPCホビイストは社会貢献を意図しなくとも、全体として社会貢献が発生するのがPCホビイズムである。

● 宣言

 以上より、この文書は以下のことを宣言する。

・PCホビイズムは、「正しさ」「問題解決能力」ではなく、「面白さ」という価値観を肯定する

・PCホビイズムは、「面白さ」によって駆動されるPCホビイストの活動を肯定する

・PCホビイズムは、PCホビイスト・ファンの「面白いことを知りたい」という欲求を肯定する

・PCホビイズムは、PCホビイストの活動が社会的に有益な価値を生み出すことを肯定する

● 付録・定義

 この文書での定義を以下に示す。

・PCホビイストとは、パソコンを使うことが他の目的を達成する手段ではなく、目的そのものとなっていて、パソコンを使う理由が「面白さ」である人々とする。ただし、この条件を満たしていても、他人に迷惑を掛ける行為を行う人々は、PCホビイストとは見なされない (迷惑の定義は別途示す必要がある)

・PCホビイスト・ファンとは、PCホビイストの行う活動に含まれる「面白さ」を見知ることで自分も「面白さ」に触れたいという欲求を持つ人々とする

● 付録・PCホビイスト・クラブ(仮称)

 PCホビイズムの理念を実現する手段として、PCホビイスト・クラブ(仮称)という組織を作ることを検討している。

 このクラブが持つべき機能は、パソコンをホビーとして使うことではなく、PCホビイスト、ファン、PCホビイストの活動を掲載するメディア等を結びつける「出会いの場」である。

 PCホビイストは自分の活動を面白いと思ってくれるファンを捜す場として利用できる。

 PCホビイスト・ファンは、自分が面白いと思える何かを探す場として利用できる。また、相互に面白いものの在処についての情報を交換する場としても利用できる。

 メディアは記事になりうる面白い成果を探すために利用できる。

 仮想コミュニティあるいは現実世界で行われるイベント等に継続的に参加していると、常に面白いものに触れることができる……というのがこのクラブの1つの理想型である。

 このクラブの運営形態については一切未定である。提案は歓迎される。

● 脚注

※1 逆説的に言えば、実用性に斟酌することなく、ひたすらオブジェクト指向的に正しいプログラムを書くことにこだわり、それを面白いと思う人々はPCホビイストである

※2 逆説的に言えば、内容に斟酌することなく、ひたすらW3Cの勧告に従う文書を書くことにこだわり、それを面白いと思う人々はPCホビイストである

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