2008年04月04日
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アニメの時代に幕を引くか・虐げられた特撮の復権「ケータイ捜査官7」

Written By: トーノZERO連絡先

 ケータイ捜査官7の第1話があまりに面白かったので、1つだけメモ的な文章を書いておく。

 ともかく面白かった!

 しかしここで述べる内容は、以下の2つのテーマに限られる。

  • アニメの時代に幕を引くか?
  • 虐げられた特撮の復権か?

30分実写ドラマの系譜 §

 おそらく1970年代ぐらいまで、30分の実写ドラマは典型的に存在していたTV番組のジャンルである。現在から見ると最も連想しやすいのはウルトラマン、仮面ライダー、戦隊シリーズのような変身ヒーローかもしれないが、変身しない特撮ドラマや、特撮ですらない一般のドラマも多かった。

 かつて好きだった作品を並べてみると。

 CB無線を使って事件を解決する(あからさまな電波法違反の)「緊急指令10-4・10-10」、宇宙から来た女性教師が魅力的な「好き! すき!! 魔女先生」、蒸気機関車で公道を走って全国を巡る「走れ!ケー100」、魔法の道具を与えられた子供達が活躍する「5年3組魔法組」、単なる子供の日常ドラマでしかない「ケンちゃんシリーズ(ケーキ屋ケンちゃん等)」等々。

 しかし、主に子供をターゲットにした30分枠の実写ドラマというジャンルは衰退し、アニメに主役の座を渡してしまったような感がある。

 長寿的に生き残ったものは、突出したヒーロー性を持つウルトラシリーズ、ライダーシリーズ、戦隊シリーズのあたりに限られていると言っても良いのではないかと思う。

30分実写ドラマの復活 §

 ところが、単なる単発作品ではなく、一定の時間枠が継続的に30分の実写ドラマに提供されるという状況が2007年4月に出現する。テレビ東京の月曜日、火曜日の午後5時30分というそれまでアニメが占有していた時間帯が、固定的に実写ドラマの放送枠に変化したのである。

 私は極めて興味深く、この枠を見続けた。

 具体的に言えば、以下の作品がそれにあたる。

美味學院 §

 美少年による料理バトルドラマなのだが、主人公が特撮ドラマのような画面効果を背景に「変身」(といっても風貌が変化するだけ)するのが見所。燃える作品。

美少女戦麗舞パンシャーヌ 奥様はスーパーヒロイン! §

 実質的な美少女仮面ポワトリンの後日談。子持ちの人妻が「美少女」を名乗ることに常に突っ込まれるナイスな浦沢義雄ギャグの世界。

女子アナ一直線! §

 「女子アナ+柔道一直線」というタイトル通りの作品。柔道しか知らない少女が女子アナを目指して厳しい特訓をくぐり抜ける。毎回、女子アナスクールに来るゲスト講師が見せる芸の面白さは絶品。特に、声優「中原麻衣」の講師としての厳しさとアイドル声優を演じる賑やかさのギャップは印象深い。

週刊 赤川次郎 §

 赤川次郎の小説を3つ程度同時並行で進行させるオムニバス的なドラマ。それらの作品を小説として読んでいるという設定のスネオヘアーがメタドラマ的に作品間をつなぐ。特に「代筆」の「マスター」の独特の語り口が印象深い。

チョコミミ §

 少女マンガを原作としたオシャレな学園ドラマ。主要登場人物以外のクラスメートが単純な書き割りであったり、アニメ的表現が合成されたり、完全なアニメパートが挿入されたり、賑やかで楽しい内容だった。

美容少年★セレブリティ §

 美少年チームからなる美容室を舞台にして、来客した女性を最も美しい状態にして送り出すドラマ。客の本音を見つけ出し、真の美しさを引き出さねば仕事が完了しないため、挫折や客との対立などの事件が多発する。見た目は女性向きだが、「女性の心を救う」という男のヒロイズムをくすぐる要素が大きいため、男が見ても面白い。

正しい王子のつくり方 §

 女の子達が、ダメな男の子達を改造して理想の王子様にしようという学園ドラマ。一見、男をなめたドラマに見えるが、男を変えようとして飛び込んでくる女の子達も厳しい現実に直面して無傷ではいられない。男の子達も変わるが、女の子達もぶつかり合いの中で変わっていくのが見所。誠実で良い作品。

アニメの時代に幕を引くか? §

 これらの作品は、正直に言えば、全て真面目に見ていたわけではない。何となく他の作業をしながら流していたことも多い。しかし、見るのをやめようと思ったことはない。継続的に見続けることは、やはり面白かったのだ。

 この手応えは、ある可能性を感じさせた。

 アニメの世界に引導を渡す役目である。

 アニメは、既に賞味期限がとっくに切れているのに未だに惰性的に作られ続けていると感じている。本当に作られる価値があるアニメは今でもあるが、それはさほど多いものではない。それにも関わらず、なぜアニメが作られ続けるのかといえば、アニメに取って代わる別の映像作品ジャンルが無かったからだと感じる。

 しかし、このような30分枠のライトなドラマがその役目を果たすとしたらどうだろうか?

 「ケータイ捜査官7」とは、まさにそのような役目を持って、ゴールデンタイムのアニメ枠を1つに引導を渡したと言える。このまま、作品のテンションを落とさずに、確かにアニメより面白いと視聴者を納得させることができれば、もしかしたら脱アニメの実写ドラマ時代は本当に到来するかもしれない。

 おそらくそれは難しいことではないだろう。長期放送化して内容がグダグダになったジャンプアニメ(アニメ銀魂 第92話「人の短所を見つけるより長所を見つけられる人になれ」参照)や、「流行している」「世間から認められている」という夢想にしか裏打ちされていない「萌えアニメ」など、本当に有能な人材が本気を出して作品作りを行えば、容易に駆逐できるだろう。

 そのようなわけで、「ケータイ捜査官7」は内容が凄く面白いだけでなく、かつて宇宙戦艦ヤマトが果たしたように、時代を変える力も期待したい。

虐げられた特撮の復権か? §

 さて、ここでもう1つのテーマについて語ろう。

 「ケータイ捜査官7」を見て、「虐げられた特撮の復権か?」と思った。

 これは、特撮がアニメによって虐げられてきて、ライダーや戦隊しか継続的に放送できない状況を述べているのではない。

 そうではなく、「変身する」ライダーや戦隊によって虐げられてきた「変身しない特撮」が存在するという異議申し立てである。

 しかし、この話題はまた長くなるので詳細は割愛しよう。

 取りあえず、変身できない私は変身しない主人公に感情移入できるし、彼が活躍するドラマは嬉しい!

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